大規模修繕工事に手抜き工事発覚か⁉果たして管理組合の取り得る方法とは?

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サラ管ブログのはじめに

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こんにちは!サラリーマン・マンション管理士ブログの「サラ管」です。

先ずは簡単な自己紹介です。

私はサラリーマンの傍らで「マンション管理士」としてのスキルアップを日々心掛けてるアラフィフおやじの「サラ管」です。

好きな言葉は「継続は力なり」。サラ管ブログを通じて、皆様の人生において私の人生経験が少しでも役立てればと思い、記事を書き記したいと思います。

それでは本題に入っていきたいと思います。

 

大規模修繕工事に手抜き工事発覚か⁉果たして管理組合の取り得る方法とは?

最終更新日 令和5年8月2日

私が担当する大規模修繕工事竣工引き渡し直前のマンションにおいて、手抜き工事と思われる事案が発覚しました。

この手の事案はニュースで見たことはありましたが、まさか自身の担当するマンションで発生するとは・・・。

手抜き工事発覚か⁈

ある日の出来事でした。

大規模修繕工事における外壁工事において、「工事が手順通りに行われていないのではないか?」との指摘が組合員から理事長に対してありました。

 

組合員:私はあるゼネコンの設計を担当していますが、私の部屋の外壁部分には明らかに工事工程が不足していると思います。手抜き工事が疑われます。

 

理事長:えっ!そんな馬鹿な⁉この工事は設計と施工を分けた「設計・監理方式」を採用してるので手抜きなんて起こり得ないと思ってたが・・・。

責任施行方式と違い、設計・監理方式は施工を行う工事会社を設計コンサル(設計事務所)が、管理(監理)・監督を行うものなので、通常では工事の手抜きや不備は考えにくいです。

 

なぜ「手抜き工事」が発生したのか?

今回のケースは、現場作業員レベルで発生したものと考えられました。

 

大規模修繕工事を発注する際、管理組合が「設計・監理方式」を採用する大きな理由は透明性を担保できるからだと考えます。「責任施行方式」だと、一括して設計から施工までを1社に依頼する事になり、透明性という点では疑問が残る工事に方式なります。

 

では、なぜ透明性が担保できる「設計・監理方式」で手抜き工事が発生したのでしょうか?

 

一般的に考えられることは、

1.施工会社の現場代理人のスキルの低さ

現場代理人のチェックの甘さや知識不足等により、下請けや孫請けの工事を監督できていない。

2.施工会社の意図的なケース

会社が意図的に指示をしている。

3.設計コンサルの工事監理者のスキルの低さ

工事監理者のスキルで工事の善し悪しが左右される場合があります。週1回から2回程度現場に出向きますが、施工会社の現場代理人と簡単な確認だけで済ませている。

4.設計コンサルと施工会社が繋がっている

申し合わせにより、設計に倣わない工事が進むことも考えられる。

 

今回のケースでは、責任の所在が「元請け」なのか「下請け」にあるのか、あるいは両方にあるのか、推測でしかありませんが、現場の職人レベルで発生したのではないかと考えています。

しかし、管理組合としては、元請けである施工会社と大規模修繕工事契約を締結しているので、追求すべきは元請けの施工会社になります。

経緯と管理組合がとったプロセス

竣工引き渡し前に手抜きが発覚した今回の事案(債務不履行の不完全履行)で、事の経緯と管理組合がとったプロセスを紹介します。(ちなみに、竣工引き渡し後の場合は「不法行為」という問題になるので、先ずは弁護士に相談すべき案件になると考えます)

 

実際に発生した経緯を時系列で淡々と紹介します!

1.組合員が「手抜き工事」の疑いを竣工検査前に理事長へ指摘。

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2.理事長(管理組合)は設計コンサルに相談(マンション管理士の私を含む)。

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3.設計コンサルは施工会社に状況を確認したのち管理組合に報告。

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4.設計コンサルの報告は施工会社を擁護するかの如く言い訳のような内容で、管理組合が到底納得できるものでは無かった。

 

設計コンサルに対し、誰のコンサルやってるのですか?あなたは管理組合のブレーンなので、しっかり仕事して下さい!と伝えました。

 

言い訳はしてません・・・が。

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5.事実解明のため、手抜き工事と疑われる場所において、管理組合が設計コンサルと施工会社立ち合いのもと現場調査を行う。

私も立ち会いました。

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6.現場調査により、一部の箇所にて手抜き工事発覚!

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7.施工会社が手抜き工事を認め、一部箇所の補修工事を申し出る。管理組合は、組合員等の居住者に対して手抜き事案を報告。

 

組合員及び居住者の皆様、手抜き工事が発覚しました。施工会社もこれを認めています。

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8.管理組合は、手抜き工事が一部にとどまらず全体に及んでいるのではないかと全体の調査を依頼。

債務不履行事案は弁護士見解が必要である事を指摘しました。

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9.施工会社は、再度足場を組む調査に難色(足場工事は全体工事費の30%を占める為)。そこで、足場を組まずに調査及び補修を行いたいと管理組合に申し出る。

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10.管理組合は、施工会社が提示した調査の案内に対し、「専有部分への作業員立入り」の項目に難色を示す。

 

管理者が共用部分へ立入りを申し出た場合には、区分所有者はこれを拒むことは難しいと考えられますが・・・。ただ、大規模修繕工事の計画期間を大きく超える事になるので、別案件の事案として捉え、再度の総会決議も必要と考えました。そこで管理組合に対し、再度の補修は「工期の問題」「生活上の問題」等様々な問題が考えられる為、組合員等の居住者への説明と臨時総会での合意形成が必要になると指摘しました。

 

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11.管理組合は、これまでの経緯と今後の方向性を確認する為、修繕委員会及び理事会を開催したのち、住民アンケート調査、住民説明会及び臨時総会の開催の準備に入る。

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12.管理組合としての方向性が概ね定まり、この段階で法的問題が無いか弁護士に見解を求める。

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13.管理組合の取り得る方向性として、①全面再補修工事②契約解除の後に損害賠償請求の何れが良いのか、理事会としての方向性を定める。

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14.住民説明会開催で理事会としての方向性を説明。

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15.臨時総会開催より決議。

 

設計コンサルのスキル不足という事で、マンション管理士である私が管理組合の支援を行いました。

しかし、本来は設計コンサルが行うべき仕事です。設計コンサルの選定及び工事監理者の選任の際は注意が必要です!

 

管理組合が押さえるべきポイント

ポイントは、管理組合の組合員に対して合意形成のプロセスを踏む事です。

後になって、

組合員A:そんな話聞いてないよ。勝手に決められたら困るなあ

組合員B:何かあったらそのつど組合員に対して説明が無いと困るわ。

という事が無いように、

・理事会・修繕委員会議事録の経過報告(掲示・回覧)

・アンケートの実施

・説明会の開催

・臨時総会の開催

を必要に応じて丁寧に行う必要があります。

 

また、必ず弁護士に見解を求める事です。

・設計コンサルに対する監理責任の追及

・施工会社に対する施工責任の追及

・組合員に対しての説明および合意形成のプロセス

の見極めを慎重に行う必要があります。

引渡し前のいわゆる手抜き工事は、民法でいうところの「債務不履行」になるので、管理組合としては弁護士の見解が必要になる事を押さえておく必要があります。

疑いがもたれる早い段階で、遅くとも総会前に行う住民説明会には、弁護士に見解を求める事が必要かと思われます。

 

まとめ

・「設計・監理方式」の大規模修繕工事においても手抜き工事は起こり得ます。

・管理組合は、設計コンサルと施工会社に対する協議、組合員等に対しての合意形成のプロセスに細心の注意を払う必要があります。

・手抜き工事は「債務不履行」事案のため、「設計コンサルに対する監理責任の追及」、「施工会社に対する施工責任の追及」、「組合員に対しての説明および合意形成のプロセス」等について、弁護士の見解を求める必要があります。

 

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