【ペット飼育不可】のマンションになぜ犬の鳴き声が⁈2つの理由があります

マンション

サラ管ブログのはじめに 

他人任せで本当に良いのですか?あなたの約8割もの財産を‼

仮にマンションの購入金額が3000万円だとします。

その内あなたが直接享受できる利益はせいぜい約2割の600万円分しかありません。

実際、あなたの部屋を見渡してください。

3000万円分の価値を実感できますか?

あなたの目で見えるものが約2割の価値という事です。(キッチン・ユニットバス・洗面・扉等の造作・フローリング・クロス等・・・ちなみに玄関ドアや窓・サッシュは含まれません)

土地や建物の共用部分等に残りの8割の財産が「マンション管理組合」により管理運営がされています。

これを機会に関心を持ってみませんか?

マンション管理組合に。

こんにちは!サラリーマン・マンション管理士ブログの「サラ管」です。

先ずは簡単な自己紹介です。

私はサラリーマンの傍らで「マンション管理士」としてのスキルアップを日々心掛けてるアラフィフおやじの「サラ管」です。

好きな言葉は「継続は力なり」。サラ管ブログを通じて、皆様の人生において私の人生経験が少しでも役立てればと思い、記事を書き記したいと思います。

それでは本題に入っていきたいと思います。

【ペット飼育不可】のマンションになぜ犬の鳴き声が⁈2つの理由があります

最終更新日 令和5年8月2日

知人が私に素朴な疑問を投げかけてきました。

 

このマンションは管理組合名で「ペットの飼育は禁止されています」と掲示しているにもかかわらず、なぜ犬の鳴き声が聞こえてくるのかしら?ペット飼育できてますよね⁈

 

マンションによっては「ペット飼育全面禁止」と決められ、あらゆる動物の飼育が禁止されているるところもあります。

 

これは管理規約により定められ、マンションの住民は例え賃借人であろうと守らなければならないはずなんですが・・・。

 

我々マンション管理士ならごく普通の事で深く考える事は無かったのですが、この質問を受けて理由を知らない方が多くいることが分かりましたので解説したいと思います。

 

結論から述べますと、飼育不可のマンションでペットが飼育されている2つの理由は、

 

1.「ペット飼育不可」を無視している

2.管理組合より飼育が認められている

 

が考えられます。

 

「飼育不可」と知っていて飼育している居住者と、「飼育不可」にもかかわらず飼育が認められている居住者がいます。

なぜ?どういうことでしょう?

ペット飼育不可を無視

1.ペット飼育不可を無視!

飼育不可を知っていて完全に無視している居住者

これら居住者の最優先順位は「ペット」なのでしょう。

管理規約など眼中にないのかもしれません。気持ちが全く理解できないわけではありませんが、マンションは一つ屋根の下で多くの居住者がいるという事を忘れてはいけません。マンションで定められた管理規約を守る必要があります。

 

規約の効力が及ぶ範囲は「区分所有者」に限りません。

 

マンションの管理規約は、例え「相続人」や「賃借人」であろうと居住者の皆が守るべきものです。

 

規約で決まっているなんて聞いてないんだから・・・。マンション購入の際に説明は受けてないので関係ありません!

 

なんて理屈はマンションの居住者となったからには通用しません。

 

律」により「管理規約」は絶対に守らなければならないと定められています。

 

根拠条文として区分所有法第46条(規約及び集会の決議の効力)において、

第46条 (規約及び集会の決議の効力)規約及び集会の決議は、区分所有者の特定承継人に対しても、その効力を生ずる
2 占有者は、建物又はその敷地若しくは附属施設の使用方法につき、区分所有者が規約又は集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負う。

※「特定承継人」というのは、売買や贈与などでマンションを取得する人の事です。

この条文では「住んでる人の全員に規約の効力が及びますよ!」と定めています。

 

例えマンションの販売会社や仲介業者と「ペットの飼育は出来ますよ」と契約上定められていても、ペット飼育不可の「規約」はペット飼育可の「契約」より優先します。

 

            規約 > 契約

 

規約を無視してペットの飼育を続けた場合には・・・

では、規約を無視して飼育を続けてしまうと・・・どうなるの?

「共同利益背反行為」に該当します。

 

これは、マンションに居住する多くの方に不利益を及ぼす「迷惑行為」をしている、という事です。これらの行為は法律により禁止されています。

根拠条文として区分所有法第6条(区分所有者の権利義務等)に、

(区分所有者の権利義務等) 区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない。
2 中略
 第一項の規定は、区分所有者以外の専有部分の占有者(以下「占有者」という。)に準用する
と定められています。
「共同利益背反行為」に該当したらどうなるの?

 

取りうる手段として管理組合や区分所有者個人が「違反者」に対して、

先ず、

「飼育を止めて下さい!」

と請求することが出来ます(区分所有法第57条 共同の利益に反する行為の停止等の請求)。

 

次に、①でも「違反者」が従わない場合には、

「あなたの部屋の使用を禁止させてもらいますよ!」(法第58条 使用禁止の請求)

・「あなたの部屋を競売にかけますよ!」(法第59条 区分所有権の競売の請求)

・「賃貸借契約を解除させて部屋を我々に引き渡してもらいますよ!」(法第60条 占有者に対する引き渡し請求)

と請求することが出来ます。
ただし、訴訟となると事が面倒になる場合が多く、管理組合としては出来る限り話し合いを持って解決に導きたいものです。

管理組合により飼育が認められているのはなぜなのか?

これはそのほとんどが、「ペット飼育不可」と規約で定められる以前よりペットを飼育しているものと考えられます。

例えば、管理組合設立当初から規約にはペットの飼育に関しての定めが無く、鳴き声や臭い問題等により規約変更をすることになった場合・・・。

 

えー、「ペット飼育不可」に決まったの⁉今まで飼ってきた私のワンちゃんを手放せっていうの~。そんなこと出来るわけないでしょ!!

 

落ち着いてください、大丈夫です。今飼ってるワンちゃんはそのまま飼育を続けることが出来ます。

 

例え規約を変えたからと言って、今まで飼育していたペットを排除する事は出来ないと考えられます。

その理由を2つ挙げますと、

先ず1つ目として、「参議院法制局の法律の窓・経過措置・遡及適用」より、

 新しい法令を制定したり、既存の法令を改廃したりすることは、それまでの法秩序を変更することになり、その内容や程度によっては、社会生活に混乱が生じかねない場合もあり得ます。こういったことはあってはならないことであり、法律では、社会生活の安定を確保するため、それまでの法制度から新しい法制度に円滑に移行できるようにするための工夫がなされています。

 「経過措置」と呼ばれるものもその工夫のひとつであり、多くの場合法律の附則で規定されます。その内容は様々であり、新旧法令の適用関係や従来の法令による行為の効力、罰則の適用に関する経過的な取扱いなどを挙げることができます。

 ところで、社会生活の安定ということを考えると、法令の施行はその公布日以降とすることが通常と思われます。一般に、法令は国民の権利義務に影響を与えるものであるので、既に発生し、成立した状態に対して新しい法令を、その施行の時点よりも遡って適用すること、すなわち法令の遡及適用は、法的安定性を害し、国民の利益に不測の侵害を及ぼす可能性が高いため、原則として行うべきではないとされています。とりわけ、罰則については、罪刑法定主義の観点から、憲法第39条において遡及処罰の禁止を明文で規定しています。

とあります。

当然と言えば当然です。

規約が変更されたからと言って今まで飼育していたペットを追い出せる、そんな理不尽な話はありませんよね。

 

次に、区分所有法でも、ペット飼育の可否の規約変更は、飼育する或いは飼育しない一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼす場合にはその人たちの承諾を得る必要がある、と定めています。

区分所有法第31条第1項(規約の設定、変更及び廃止) 規約の設定、変更又は廃止は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議によつてする。この場合において、規約の設定、変更又は廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。
但し注意が必要なのは、規約には定めがなくても、「売買契約書」や「賃貸借契約書」、回覧板や掲示物等にペットの飼育が制限されている事が明らかであるような場合には、その「承諾」を必要としない事も考えられます(判例:平成3年12月横浜地裁)。
マンションを取り巻く環境やその状況によって判断が変わってくるので、詳しくは弁護士等の専門家に相談する事をお勧めします。

 

まとめ

・「ペット飼育不可」のマンションでペットが飼育されている2つの理由は、1.「ペット飼育不可」を無視している、2.管理組合より飼育が認められている、という事が考えられます。

・「ペット飼育不可」を無視する居住者には、管理組合等により「飼育の禁止」や「部屋の使用禁止」、「引き渡し請求」あるいは「競売請求」の訴えを提起されることが考えられます。

・一方、管理組合よりペット飼育が認められる理由として、「ペット飼育の規約が変更される以前より飼育していること」が挙げられます。

 

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