【マンション総会の進行・出席・決議等】注意すべきポイントを解説します!!

理事長

サラ管ブログのはじめに

他人任せで本当に良いのですか?あなたの約8割もの財産を‼

仮にマンションの購入金額が3000万円だとします。

その内あなたが直接享受できる利益はせいぜい約2割の600万円分しかありません。

実際、あなたの部屋を見渡してください。

3000万円分の価値を実感できますか?

あなたの目で見えるものが約2割の価値という事です。(キッチン・ユニットバス・洗面・扉等の造作・フローリング・クロス等・・・ちなみに玄関ドアや窓・サッシュは含まれません)

土地や建物の共用部分等に残りの8割の財産が「マンション管理組合」により管理運営がされています。

これを機会に関心を持ってみませんか?

マンション管理組合に。

こんにちは!サラリーマン・マンション管理士ブログの「サラ管」です。

先ずは簡単な自己紹介です。

私はサラリーマンの傍らで「マンション管理士」としてのスキルアップを日々心掛けてるアラフィフおやじの「サラ管」です。

好きな言葉は「継続は力なり」。サラ管ブログを通じて、皆様の人生において私の人生経験が少しでも役立てればと思い、記事を書き記したいと思います。

それでは本題に入っていきたいと思います。

 

【マンション総会の進行・出席・決議等】注意すべきポイントを解説します!!

最終更新日 令和5年8月2日

先日、ある「自主管理」のマンションで総会が開催されました。

 

進行:定刻となりましたので、まずは資格審査報告を致します!

出席:20

欠席:15委任状12

議決権総数35の内、半数以上の20名の出席が認められましたので、管理既約○○条により、本総会は適正に成立しました事を報告いたします。

 

進行:次に議長選任をおこないますが、区分所有法および管理規約○○条において・・・

 

 

ちょっと待ってください、間違ってますよ!

 

・総会成立(資格審査)要件

・議案の可・否決

・議事録記載事項等

 

管理会社に総会・理事会支援業務を委託しているマンションでは総会進行などは特段問題ない(⁈)と考えられますが、マンションの管理運営を「自主管理」や「一部委託」で行っている管理組合の関係者は特に注意が必要です。

 

総会の成立要件等に関して、今一つ理解がなされていないところがありましたので解説したいと思います!

総会成立(資格審査)要件

【総会成立(資格審査)要件】

区分所有法において、総会の成立(資格審査)要件は特に定められていません。

 

従いまして、総会の成立(資格審査)要件はそれぞれのマンション毎の管理規約において確認する必要がありますが、一般的には「議決権総数の半数以上の出席」と定められている場合がほとんどです。

標準管理規約(総会の会議及び議事)
第47条 総会の会議は、前条第1項に定める議決権総数の半数以上を有する組合員が出席しなければならない。

多くのマンションが標準管理規約をもとに規約が作成されてはいますが、築年数が古く、管理規約の改正が数十年も行われていないマンションでは注意が必要です。

なぜなら、上記のような条文が無い場合は有効に総会が成立しない可能性もあるからです。

 

また、「出席」を誤解しないように注意が必要です。

「出席」数は、実際に総会の場に参加する組合員に加えて、

・委任状

・議決権行使書

も「出席」と数えます。

 

従いまして、冒頭の「資格審査報告」では、

出席:総会会場の出席20委任状出席12合計32の出席

欠席:3

となります。

議案の可・否決

【決議】

区分所有法において ″法律または規約で特に定められていなければ「区分所有者及び議決権の各過半数」で決議してください″ と定められています。

つまり、規約が作られていないマンションや規約に特段なにも定められていない場合は、「区分所有者及び議決権の各過半数」で議案が決せられるという事です。

区分所有法(第39条1項)

第39条(議事) 集会の議事は、この法律又は規約に別段の定めがない限り、区分所有者及び議決権の各過半数で決する。

 

しかし、ここで注意が必要なのは、上記区分所有法第39条の文中にある

の法律又は規約に別段の定めがない限り」

つまり、法や規約に別の定めがあればそちらを優先して下さい、という事です。

以下解説しますと、

 

「法律の別段の定め」とは、

区分所有法において、第17条の「共用部分の重大変更」や第31条の「規約の設定・変更および廃止」など大掛かりな業務や、また更に大掛かりな「建替え」等の特別な決議事項の場合を指します。

つまり、共用部分の重大変更や規約の設定・変更および廃止など特別な決議事項では「区分所有者総数及び議決権総数の4分の3以上」あるいは「区分所有者総数及び議決権総数の5分の4以上を変えることは出来ない」という事です。

「規約に別段の定め」とは、

規約に別の定めがあれば、普通議決の要件の軽減や加重が可能になります。

例えば、法律の定める「区分所有者及び議決権の各過半数で決する」を、

・「議決権の各過半数で決する」

・「集会に出席した区分所有者及び議決権の各過半数で決する」

・「区分所有者及び議決権の4分の3以上で決する」

・「区分所有者及び議決権の4分の1以上で決する」

などにする事も可能ですよ、という事になります。

 

ただ、民主制を採るべきマンションにおいては、

例えば、

・「区分所有者及び議決権の4分の1以上で決する」

という事は、例え「規約に別段の定め」をしたとしても、多数決の原理から考えにくいと思いますし、現実的ではないと考えます。

 

標準管理規約(第47条2項、3項)

普通決議(47条2項)

第47条(総会の会議及び議事) 

2 総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決する。

特別決議(47条3項:特に慎重を期すべき事項として)

第47条 
3 次の各号に掲げる事項に関する総会の議事は、前項にかかわらず、組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決する。
一 規約の制定、変更又は廃止
二 敷地及び共用部分等の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないもの及び建築物の耐震改修の促進に関する法律第25条第2項に基づく認定を受けた建物の耐震改修を除く。)
三 区分所有法第58条第1項、第59条第1項又は第60条第1項の訴えの提起
四 建物の価格の2分の1を超える部分が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧
五 その他総会において本項の方法により決議することとした事項
4 建替え決議は、第2項にかかわらず、組合員総数の5分の4以上及び議決権総数の5分の4以上で行う。
5 マンション敷地売却決議は、第2項にかかわらず、組合員総数、議決権総数及び敷地利用権の持分の価格の各5分の4以上で行う。

 

 

議事録

【議事録の作成】

″議事録の作成は議長が作成しなければならない″と区分所有法第42条1項において定められています。

区分所有法第42条1項

第42条 (議事録)集会の議事については、議長は、書面又は電磁的記録により、議事録を作成しなければならない。

 

【議事録の内容】

議事録の内容も区分所有法第42条2項に定められています。

議事の経過の要領及びその結果を記載ないしは記録しなければならない(議事の経過とは、議題、議案、討議の内容及び採決方法が考えられます。)

 

ちなみに、マンションの大半が滅失した場合のように特別決議事項となった場合は、賛否の数も記載する必要があります(区分所有法第61条6項)

 

【議事録署名】

区分所有法に定めは有りません。

従いまして、管理規約に定めるところによります。

標準管理規約においては議事録署名人を2名となっており、その資格も定められています。

(議事録の作成、保管等)
第49条 総会の議事については、議長は、議事録を作成しなければならない。
2 議事録には、議事の経過の要領及びその結果を記載し、議長及び議長の指名する2名の総会に出席した組合員がこれに署名押印しなければならない。

 

【議事録の保管・閲覧】

保管や閲覧も区分所有法により定められています。

議事録の閲覧については、区分所有法第42条5項において定められています。

区分所有者(組合員)や利害関係人(不動産仲介業者など)の請求があった場合は、日時や場所を指定して閲覧させなければなりません。

 

区分所有法第42条5項

5 第33条の規定は、議事録について準用する。

つまり、以下に読み替えるという事です。

(規約(議事録)の保管及び閲覧)
第33条 規約(議事録)は、管理者が保管しなければならない。ただし、管理者がないときは、建物を使用している区分所有者又はその代理人で規約又は集会の決議で定めるものが保管しなければならない。
2 前項の規定により規約(議事録)を保管する者は、利害関係人の請求があつたときは、正当な理由がある場合を除いて、規約(議事録)の閲覧を拒んではならない。
3 規約(議事録)の保管場所は、建物内の見やすい場所に掲示しなければならない。

 

議事録の閲覧については、区分所有者(組合員)や利害関係人(不動産仲介業者など)の請求があった場合は、日時や場所を指定して閲覧させなければなりません。

 

 

総会開催前に必ず押さえておくべきポイント

決議が無効になる恐れも・・・。

管理組合内で裁判沙汰の事案が発生したような場合、管理組合に不利益が発生する事も考えられます。

身近な事例で、高齢者が多くなってきたマンションにおいて、1階部分のある特定箇所の階段を廃止してスロープに変更するとします。

このを「普通決議」で行い、工事を実施しました。

後に、ある組合員から「スロープは必要ない」、ましてやこの工事には「特別決議」が必要なので無効である。原状回復せよ!

となった場合、例えスロープ工事がそのマンションにとって必要な工事でも、或いは原状回復の必要が出てくるかもしれません。

 

・総会は有効に成立しているのか?

・議事録の保管や閲覧に関して決まりがあるのか?

・普通決議事項なのかそれとも特別決議事項なのか?

 

等々、総会開催前に十分把握する必要があります。

まとめ

・総会成立(資格審査)要件は、区分所有法において特に定められていません。標準管理規約には定められていますが、基本的にはマンション毎に定めることが出来ると考えられます。

・決議については、区分所有法において ″法又は規約で特に定められていなければ区分所有者及び議決権の各過半数で決議” と定められています。規約に別の定めがある場合は注意が必要です。

・議事録の作成、保管や閲覧にも区分所有法の定めがあります。法の定めに則って作成する必要があります。

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