マンション購入の際に注意すべきポイントPART3【修繕積立金】編

マンション

サラ管ブログのはじめに 

他人任せで本当に良いのですか?あなたの約8割もの財産を‼

仮にマンションの購入金額が3000万円だとします。

その内あなたが直接享受できる利益はせいぜい約2割の600万円分しかありません。

実際、あなたの部屋を見渡してください。

3000万円分の価値を実感できますか?

あなたの目で見えるものが約2割の価値という事です。(キッチン・ユニットバス・洗面・扉等の造作・フローリング・クロス等・・・ちなみに玄関ドアや窓・サッシュは含まれません)

土地や建物の共用部分等に残りの8割の財産が「マンション管理組合」により管理運営がされています。

これを機会に関心を持ってみませんか?

マンション管理組合に。

こんにちは!サラリーマン・マンション管理士ブログの「サラ管」です。

先ずは簡単な自己紹介です。

私はサラリーマンの傍らで「マンション管理士」としてのスキルアップを日々心掛けてるアラフィフおやじの「サラ管」です。

好きな言葉は「継続は力なり」。サラ管ブログを通じて、皆様の人生において私の人生経験が少しでも役立てればと思い、記事を書き記したいと思います。

それでは本題に入っていきたいと思います。

 

マンション購入の際に注意すべきポイントPART3【修繕積立金】編

投稿日2021.4.8

更新日2022.2.3

結論から、

おおよそ30年のスパンで修繕積立金の収支がバランスがとれていることが必要です。マンションには「長期修繕計画書」があるので、購入前には必ず確認しましょう。

 ・長期修繕計画書がない

 ・長期修繕計画が計画されていない

 ・30年後の収支バランスがとれていない

などの場合は購入を見送るべきでしょう。また、例え「長期修繕計画」が作成されていたとして、

 ・30年の期間中に大規模修繕工事の計画が2回計画されていない

 ・給排水管の更新・更生工事が計画されていない

など、ずさんな計画では意味がありませんので、そのような場合はマンション管理士等の専門家に相談してみると良いでしょう!

 

私はマンションの物件情報を見るのが結構好きで、特に中古マンションのチラシや売り出し案内を注意深く見ます。

やっぱり気になるのは

1.管理費の額

2.修繕積立金の額

の上記2点です。

出先でマンション前に中古物件の売出し内覧案内の看板がある場合は、マンションを一周して管理状況を出来るだけ見るようにします。

そして、その額が適当なのか?

いろいろと想像をして楽しんでます(〃艸〃)ムフッ。

 

中古マンションを購入する際は、修繕積立金が適正に積み立てられているか

また、併せて大規模修繕工事が計画的に行われているか或いは計画されている

これらの事を購入前に把握できるかどうかで、あなたのマンションライフを左右する重要なポイントになるかもしれません。

では、修繕積立金とは?その適正額は?どのようなときに使われるのか?を解説していきます。

(以下の記事もご参考に!)

>>【知ってたら必ず得します!】マンション購入の際に注意すべきポイント【まとめ】

>>マンション購入の際に注意すべきポイントPART1「機械式駐車場」編

>>マンション購入の際に注意すべきポイントPART2「管理費」編

>>マンション購入の際に注意すべきポイントPART4「給排水設備」編

>>マンション購入の際に注意すべきポイントPART5「理事会議事録」編

 

修繕積立金とは?

修繕積立金とは、「大規模修繕工事」等に備えて、区分所有者が毎月積み立てるお金です。

国土交通省が示している「マンション標準管理規約」の第28条には、

管理組合は、各区分所有者が納入する修繕積立金を積み立てるものとする

ハッキリ言って、この条文では何のために積み立てるのか?正直よくわかりません。

 

しかし、この条文の解釈をマンション標準管理規約コメントでは分かり易く示しています。

対象物件の経済的価値を適正に維持するためには、一定期間ごとに行う計画的な維持修繕工事が重要であるので、修繕積立金を必ず積み立てることとしたものである。

一定期間ごとに必ず大規模修繕工事が必要になるので、その莫大な費用を区分所有者が全員で月々積み立てを確実に行って下さい、と言うものです。

 

マンションでは12年ごとに、建物の外壁の補修、鉄部やアルミの塗装や洗い、バルコニーや屋上の防水工事、共用廊下の床面や壁の補修等の「共用部分」等を、新築時と同程度の状態に戻すための大規模な修繕工事を行う事とされています。

 

ただし、「12年ごと」の修繕サイクルは、建物の劣化状況等により判断されますので、15年あるいは17年で工事を行った、という話も聞かれます。

 

まずはマンション劣化診断を適切に行った上で、各々のマンションで大規模修繕の時期を見極める必要があります。

 

12年というのはあくまで「目安」である事は覚えておいてください。

 

修繕積立金の額は?

特に、これだけ毎月積み立ててください、という決まりは有りません。

一般的に、マンションの修繕積立金の額はマンション分譲業者が売り出し前に、「規模(延べ床面積)」、「総戸数」や「マンションの形状」、「駐車場の種類」などの条件等を考慮(?)して分譲します。

従いまして、その額が適正か否かの議論がなされていないマンションに関しては、分譲時のままの修繕積立金の額だと思われます。

 

しかし、

この額で本当に適正なの?

と疑問を感じた管理組合ではその額が変更されている事もあります。

 

修繕積立金の額は適正か?

では、修繕積立金の適正額は一体いくらなのか?

適正かどうかの判断材料として、国土交通省が平成23年に「マンション修繕積立金ガイドライン」となるものを示していますので参考になると思います。

修繕積立金の適正額の計算方法

修繕積立金の額の目安=[専有床面積1㎡当たりの修繕積立金の額]×[専有床面積(㎡)]

このうち、専有床面積1㎡当たりの修繕積立金の額については、建物全体の延べ床面積や階数に応じて以下の値を当てはめます。

【15階未満】
・5000㎡未満:218円/㎡・月
・5000〜10000㎡:202円/㎡・月
・10000㎡以上:178円/㎡・月
【20階以上】
・206円/㎡・月

計算は非常に簡単です。

 

実際に私の携わるマンション(機械式駐車場無し)で計算してみますと、

・築36年

・専有面積71㎡(マンション全体の専有床面積17,750㎡)

・地上14階

・約250世帯

毎月一戸当たりの積立適正額がこちらです。

積立適正額 71㎡×178円=12,636円

そして、このマンションの実際の毎月一戸当たりの積立額はこちらです。

私の携わるマンションの月々の積立額 13,056円

 

 参考までに、国土交通省がマンション実態調査のために5年に一度行っている「マンション総合調査」により示されている一般的なマンションでの積立額平均は、

マンション総合調査での積立平均 11,060円

です。

 

ここで、疑問に思う方がいると思います。

よくチラシ広告で見かける新築マンションの「修繕積立金」はもっと低く抑えられていけど、なぜなのか?

 

それは、販売会社が売り易くするためです。

 

多くの方が「住宅ローン」を利用されると思いますが、それに加えて「管理費」や「修繕積立金」の負担額が大きくなると、月々の支払いが大きくなるので購買意欲の低下を避けるためだと考えられます。

 

その為、多くのマンションでは修繕積立金の額を低額(5,000円前後が多い)に抑えるために、契約時に「修繕積立一時金」と言う名目で別途数十万円を徴収し、第1回目の大規模修繕工事をその一時金と低い修繕積立金で行うというものです。

 

1回目の大規模修繕工事は外壁と屋上の防水工事のみ、という事が一般的です。

ですので、上記の「修繕積立一時金」と月々の「修繕積立金」大規模修繕工事は可能です。

 

しかし、2回目以降の大規模修繕工事はそうはいきません。建築資材や人件費の上昇も考慮する必要があります。

 

あるマンションでは、

1回目と比較して2回目の大規模修繕工事は140%増

別のマンションでは3回目はなんと!200%増

と、第1回目の大規模修繕工事と比較して工事費が大きく膨らんでいます。

 

先延ばし或いは借入にて対応というのは、出来る限り避けたいです。

管理組合が修繕積立金の額をどのように算出しているのか?大規模修繕工事の計画と合わせて購入前には十分に確認する必要があります。

機械式駐車場があるマンション➡さらに修繕積立金の額が上昇‼

さらに、機械式駐車場が設置されているマンションだと修繕積立金が上昇します。

ハッキリ言いまして、「機械式駐車場」は金食い虫です。

避けて通れるなら避けて通ってください。

詳しくは、

をご覧ください。

 

マンション修繕積立金ガイドラインによる機械式駐車場の修繕積立金計算式です。

[機械式駐車場の1台当たりの修繕工事費]×[台数]×[購入を予定する住戸の負担割合(一般的に専有部分の床面積)]

機械式駐車場の1台あたりの修繕工事費の目安は、以下の値を当てはめます。

【機械式駐車場の機種】
・2段(ピット1段)昇降式:7085円/台・月
・3段(ピット2段)昇降式:6040円/台・月
・3段(ピット1段)昇降横行式:8540円/台・月
・4段(ピット2段)昇降横行式:14165円/台・月

例えば、

総戸数250戸の大規模マンションの場合(付置義務を考慮)平面駐車場との兼用と仮定

3段(ピット1段)昇降式で100台分とした場合、

8,540円×100台×(負担割合は専有部分71㎡÷17,750㎡)=3,416円/月

修繕積立金に加えて、月々3,416円が併せて必要になるという計算です。結構な金額になりますので、十分に検討して下さい!

修繕積立金の使い道は?

標準管理規約において、修繕積立金は大規模修繕工事の為に積み立てるのが基本とされてますが、以下の場合には取り崩すことも可能であるとされています。

標準管理規約 第28条1項2号から5号

二 不測の事故その他特別の事由により必要となる修繕

三 敷地及び共用部分等の変更

四 建物の建替えに係る合意形成に必要となる事項の調査

五 その他敷地及び共用部分等の管理に関し、区分所有者全体の利益のために特別に必要となる管理

修繕工事以外の目的で修繕積立金を取り崩すためには、規約変更が必要になります。

 

但し、上記の2号から5号の特別利用(災害等の緊急時の対応を想定)の目的であれば、理事会決議のうえで工事等を実施し、次の総会で報告、という事も可能だと考えられます。

上記の「標準管理規約」とは読んで字のごとく、標準的な規約はこんなもんですよ!と国交省が示したものです。重要なのは、それぞれのマンションの管理規約ではどのように定められているか、それを確認する事が重要です。法律に反する条文が無ければその規約があなたのマンションでは「絶対的存在」となります。くれぐれもご注意を!

以下の記事もご参考にして下さい。

修繕積立金の詳細を確認する方法

マンション管理組合の保管資料の1つとして、「収支報告書」があります。

その中の修繕積立金会計を確認することにより、積立総額や月々の積立額等の詳細を確認することが出来ます。

仲介業者に依頼してその内容を確認することが出来ます。

まとめ

おおよそ30年のスパンで修繕積立金の収支がバランスがとれていることが必要です。マンションには「長期修繕計画書」があるので、購入前には必ず確認しましょう。

・修繕積立金会計の収支表を確認し、収入額を「マンションの修繕積立金にかんするガイドライン」と比較しましょう。

・「駐車場使用料」などの使用料は修繕積立金会計か駐車場等会計とするのが一般的です。管理費会計に組み込まれている場合は購入対象から外した方が良いでしょう。

・修繕積立金とは、「大規模修繕工事」に備えて毎月、区分所有者が積み立てるお金です。

・修繕積立金の額は、国土交通省の「マンションの修繕積立金にかんするガイドライン」で、それぞれのマンション毎の適正額を算出することができます。

・機械式駐車場を設置しているマンションは、修繕積立金の額が上昇するので注意が必要です。

・管理組合が修繕積立金の額をどのように算出しているのか?また、どのような使われ方がされているのか?長期修繕計画書をよく確認しましょう。購入前には十分に確認する必要があります。

 

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