ネット環境改善で資産価値向上。しかし難色を示すのは管理組合だけではなかった。

マンション

サラ管ブログのはじめに 

他人任せで本当に良いのですか?あなたの約8割もの財産を‼

仮にマンションの購入金額が3000万円だとします。

その内あなたが直接享受できる利益はせいぜい約2割の600万円分しかありません。

実際、あなたの部屋を見渡してください。

3000万円分の価値を実感できますか?

あなたの目で見えるものが約2割の価値という事です。(キッチン・ユニットバス・洗面・扉等の造作・フローリング・クロス等・・・ちなみに玄関ドアや窓・サッシュは含まれません)

土地や建物の共用部分等に残りの8割の財産が「マンション管理組合」により管理運営がされています。

これを機会に関心を持ってみませんか?

マンション管理組合に。

こんにちは!サラリーマン・マンション管理士ブログの「サラ管」です。

先ずは簡単な自己紹介です。

私はサラリーマンの傍らで「マンション管理士」としてのスキルアップを日々心掛けてるアラフィフおやじの「サラ管」です。

好きな言葉は「継続は力なり」。サラ管ブログを通じて、皆様の人生において私の人生経験が少しでも役立てればと思い、記事を書き記したいと思います。

 

それでは本題に入っていきたいと思います。

 

ネット環境改善で資産価値向上。しかし難色を示したのは管理組合だけではなかった。

投稿日2021.3.24

更新日2022.2.1

先日の理事会での事です。

最近引っ越してきたばかりの区分所有者Aさんより、

 

「ネット利用の際、速度が非常に遅く不便を感じるのでB社のCプランを導入して欲しい。ネット環境に不満がある人も他に必ずいると思う。共同利用方式で申し込めば割引適用になるので、アンケートで導入の是非を取らせてほしい。」

 

と管理会社宛に要望があった事が理事会において報告されました。

 

さて理事会はどのように対応したのでしょうか?

 

結論から申しますと、

・築年数が古い為、専有部分までの回線経路が混雑しているので導入できない。
・採用した場合に多額の工事費用が発生する。
・共用部分の変更に加えて専有部分の権利と使用に影響が出る。

以上の理由により、理事会により採用は見送られました。

また、難色を示したのは管理組合及び「通信会社」です

 

以下、詳しく解説していきます!

 

ネット環境の改善で資産価値向上

・ネット環境の改善は改修工事(機能・性能をグレードアップする工事)にあたり、マンションの資産価値の向上・住民の利便性の向上につながります。

本来なら管理組合で積極的に検討すべき事項です。

因みに、「修繕工事」は機能・性能を新築時と同等に回復させる工事を言い、「改修工事」とは異なります。

・また、導入に際しての手続き面においても、

1.総会において予め事業計画として承認されていれば、理事会で進めることは出来ます。

2.総会で事業計画の承認されていない場合、理事会で検討が行われ、総会決議により事業計画として承認される事も考えられます。

と、さほど導入には面倒な問題はなさそうですが・・・。

なぜ管理組合が難色を示したのか?4つの理由

1.築30年以上のマンションで、現在までに多数の会社と回線契約。その為、各専有部分までの回線経路がすでに混雑している状況

・築年数の古いマンションである為、共用部の配電盤室までは光ケーブルが引き込まれています。

しかし、そこから先の各戸までは電話回線で引き込まれ、また回線経路も混雑状況にある為、かなり大掛かりな工事となる事が予想出来る為。

 

2.回線引き込みが「専有部分の権利と使用」に影響を及ぼす

専有部分の権利に関して

「現状のネット環境で十分!」

「ネットは使わないので必要ない!」

「そんな理由で部屋に入ってもらっては困る。プライバシーの侵害だ!」

と考える区分所有者の権利を考慮する必要があります。

専有部分の使用に影響が

「部屋にも工事が及ぶなら必要ない!現状のままでよい。」

「日中は在宅していない。夜来て欲しい。」

等の理由で、区分所有者の理解が得られないケースも考えられます。

 

3.資産価値に影響を及ぼす⁈

・仮に導入が可能だとして、専有部分までの回線が混雑して使用できない場合は廊下等の共用部分に回線を設置する必要があります。

その際、人の目につく場所に回線用の管を設置する為、

「マンションの外観が損なわれる」

「資産価値の低下につながる」

等の指摘も考えられます。

資産価値の向上を目指した工事が、逆に資産価値を低下させてしまえば本末転倒となりかねません。

 

4.工事費用等が発生する

・「共同利用方式」の場合、大掛かりな工事となり多額の工事費用発生が見込まれます。

・各戸の負担割合という問題の発生も見込まれます。

新たなネット環境導入には「総会決議」が必要となります

・先にも記しましたが、共用部分の変更行為(区分所有法18条)にあたり、総会決議が必要になります。

・専有部分の使用や権利に影響がでることを踏まえ、専有部分の所有者(区分所有者)への丁寧な説明と理解が必要になります。

 

Aさんのアンケート実施について

・区分所有者がマンション内において無断で「アンケート調査」を行うことは規約違反となる場合があるので注意が必要です。

・総会で付託された理事会のみが、マンションの管理運営を審議検討、業務遂行できる唯一の執行機関です。何かしらする際は必ず管理組合に話を通しましょう。

 

管理組合以外に難色を示したのは?

Aさんが導入を進めている通信会社が難色を示していました。

その理由として、

・通信会社の経験則上、築年数が同程度のマンションの回線状況を把握している為、マンション共用部の配電盤室から専有部分までを光回線として導入するのが困難である事を承知していた。

・築年数の古いマンションでは、管理組合の合意形成が困難である事を予め承知していた。

通信会社から管理組合宛に営業攻勢が無かったことで納得できます。

 

管理組合としての対応

1.通信会社B社に対して導入の方法や費用の説明を、区分所有者A個人ではなく「理事会宛」に求める。

2.B社が説明を行う理事会の席に区分所有者Aにも同席してもらい、管理組合が難色を示した「4つの理由」の説明も併せて行う。

3.結果、導入の価値がある場合には、理事会において上記「4つの理由」の解決に向けた検討を開始する。

 

まとめ

・築年数の古いマンションの場合、専有部分までの回線経路が混雑していることが考えられ、導入するとなれば大掛かりな工事となり、多額の工事費用が発生すると見込まれます。

・共用部分の変更に加えて専有部分の権利と使用に影響が出る為、導入のハードルは非常に高いと考えられます。

 

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