【実録解説‼】大規模修繕工事を進める上で最も重要なポイント<専門家の選定編>

マンション

サラ管ブログのはじめに

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マンション管理組合に。

こんにちは!サラリーマン・マンション管理士ブログの「サラ管」です。

先ずは簡単な自己紹介です。

私はサラリーマンの傍らで「マンション管理士」としてのスキルアップを日々心掛けてるアラフィフおやじの「サラ管」です。

好きな言葉は「継続は力なり」。サラ管ブログを通じて、皆様の人生において私の人生経験が少しでも役立てればと思い、記事を書き記したいと思います。

それでは本題に入っていきたいと思います。

 

【実録解説‼】大規模修繕工事を進める上で最も重要なポイント<専門家の選定編>

【重要ポイント】

公平性・健全性・透明性を担保する事。理事会や修繕委員会が中心として行われる為、一般組合員に対する合意形成が重要になります。

・大規模修繕工事は、その工事の規模や扱う金額の大きさから、以下に記していますが、理事会や修繕委員会のメンバーでは対応できない事が多々あります。最低でも、設計コンサル(施工会社)選定までの期間は、「マンション管理士」等の専門家を活用した方が無難です。

 

 

あるマンションの組合員よりこのような話を聞きました。

 

 

私の知人のマンションにおいて「大規模修繕工事」が行われ、その工事内容が杜撰だったので、知人が理事長に経緯の説明をするよう申し出ても取り合ってくれないそうなんです。

 

どうやらそのマンションでは、定例総会の事業計画において、事前に大規模修繕工事の承認を得たものの、その後の「設計会社」や「工事施工会社」の選定作業を、組合員や理事メンバーの無関心を良いことに理事長が半ば強引に行ったようです。

 

このようなケースは「責任施行方式(設計施工を同一の会社が請け負う)」では「珍しくない」のではないでしょうか。

 

透明性を担保する為に「設計監理方式(設計と施工を分けて発注)」をお勧めします!

 

一般的に大規模修繕工事の工程は大きく、

1.設計コンサル(専門家)の選定(所要期間6カ月程度)

2.建物調査・診断(3カ月程度)

3.修繕設計(3カ月程度)

4.施工会社選定(6カ月程度)

5.工事監理(工事開始~引き渡し:8カ月程度)

と進みます。

 

これら各工程において、それぞれ重要なポイントがあります。

ポイントを押さえないと、大規模修繕工事の適正性・透明性が確保できなくなることも考えられますので、管理組合の役員の方はご注意を!!

 

そこで、今回は「設計コンサルの選定」において注意すべきはどこなのか?

 

大規模修繕工事を約2年後に控えた管理組合において、理事会はどのように大規模修繕工事を進めるべきなのか?

 

ある管理組合で実際に行われた大規模修繕工事の流れで、

【管理組合の発意】~【設計コンサルの選定】

と順に解説します。

 

長期修繕計画の確認

 

通常、多くのマンションにおいて分譲時に定められる「長期修繕計画」をもとに、そこで定められた「大規模修繕工事」の時期を目安に、おおよそ「2年前」に検討を開始します。

 

一般的に大規模修繕の周期は12年程度とされていますが、様々な条件によりマンション毎に工事の時期は異なってきます。

従いまして、過去の建物や設備関係の点検や修繕結果等に基づき、大規模修繕工事の検討を開始するか否の判断が管理組合(理事会)で必要になります。

 

あくまでも12年は目安という事です!

 

 

専門委員会の設置・検討

【1.修繕委員会の設置】

理事会において大規模修繕工事の検討開始の判断がなされた場合、理事会は専門委員会の1つである「修繕委員会」を設置する事になります。(但し、小規模マンションの場合は理事会がその役割を担う事も考えられます)

根拠条文>>国土交通省:マンション標準管理規約第55条より

(専門委員会の設置)
第55条 理事会は、その責任と権限の範囲内において、専門委員会を設置し、特定の課題を調査又は検討させることができる。
2 専門委員会は、調査又は検討した結果を理事会に具申する

「専門委員会について」はこちらの記事をご参考に>>>【実録】新任役員を迎えた第一回定例理事会の「報告事項」の内容を解説します

 

修繕委員会のメンバーについては、大規模修繕工事に関心が強い組合員のほか、専門的知識を有する組合員以外の者を選任する事も考えられます。

 

根拠条文>>>国土交通省:マンション標準管理規約コメントより

第55条関係
② 専門委員会は、検討対象に関心が強い組合員を中心に構成されるものである。必要に応じ検討対象に関する専門的知識を有する者(組合員以外も含む。)の参加を求めることもできる。

 

というより、「公平性・健全性・透明性」を担保したいのであれば、

この時点で、

 

 

マンション管理士等の信頼できる専門家を採用すべきです!!

 

 

話しは少しそれますが、

なぜなら、これ以降の「設計コンサル」を決めるまで専門的な見解を必要とする場合があるからです。

理事会や組合員だけで組織された修繕委員会だけでは正直力不足です。

つまり、

上記の大規模修繕の工程で示した「2.建物・診断」以降は、「建物の専門家である設計コンサル」が管理組合の立場でもって大規模修繕工事を進めますが、「1.設計コンサルの選定」時は、専門家が不在になるので、マンション管理士等の採用が不可欠だと考えます。

 

えっ?なんで??管理委託している管理会社の担当者に相談すればよいでしょ!

 

と考えがちですが、その時点で、

 

「公平性・健全性・透明性」が担保されなくなることが考えられる

 

からです。

・管理会社の担当者から「系列会社」や「懇意の設計会社」に声がけしないとは限りません。

・大規模修繕工事の場合、その扱う工事の規模や金額の大きさから談合が横行しているのも事実です。

 

健全な工事工程をマンションの区分所有者である組合員に対して都度示さなければなりません。

皆さんの大切な財産を守る為にも、「マンション管理士」等の信頼のおける専門家の採用をお勧めします。

 

話しを戻して、

専門委員会の設置には「総会の承認」を得る事をお勧めします。

根拠条文>>>国土交通省:マンション標準管理規約コメントより

第55条関係
① 専門委員会の検討対象が理事会の責任と権限を越える事項である場合や、理事会活動に認められている経費以上の費用が専門委員会の検討に必要となる場合、運営細則の制定が必要な場合等は、専門委員会の設置に総会の決議が必要となる。

なぜなら修繕委員会では、規模やその扱う金額の大きさから設置には総会での承認を得るように標準管理規約において定められているからです。(あくまでも標準管理規約なので「総会承認」を得なくても法違反で罰せられるようなことは有りませんが・・・)

 

【2.修繕委員会での検討】

修繕委員会において、

設計コンサルの選定にあたっては以下の3項目を明確にする必要があります。これにより、計画的に工事を進め組合員の合意形成も得られやすくなります。

 

 

①設計コンサルを選定するプロセス

②設計コンサルを選定する上での基準

③候補の募集方法

 

①設計コンサルを選定するプロセス

・一次審査(応募書類から公募基準を満たす会社かどうか等の書類選考)

・現場調査(調査:各社が集合する「現場説明会」は不可!

・見積もり開封会

・見積もり比較表作成(マンション管理士⁈)

・二次審査(見積もり比較:通常5~7社)

・三次審査(ヒアリング:通常2~3社)

・内定1社

など、スケジュールを予め定めます。具体的には、以下に記す「設計コンサル選定までの具体的プロセス」をご参考に。

 

②設計コンサルを選定する上での基準

・設立時期(法人登記後○○年以上)

・会社の所在地(所在都道府県近隣に限る等)

・過去3年以内のコンサル実績(○○○万円以上〇〇件)

・過去3年以内の財務状況(赤字無し)

 

などを、見積もり参加事務所のハードルをどの程度に設定するのか?(①も含めて、専門家の力が必要かと思います。)これを見誤ると、見積もり参加事務所が「ゼロ」なんてことも考えられます。

 

③候補の募集方法

 

・業界新聞(マンション管理新聞・建通新聞等)での募集(無料)

・マンション内掲示

により、募集を行います。

理事会役員の知り合いや管理会社の紹介、組合員の知り合いなどは、その選定の際に十分な注意が必要です。

 

設計コンサル選定までの具体的プロセス

 

ここまでやれば、このスケジュールでやれば、組合員に対する説明責任が果たせる!と考えます。

 

選定を以下の流れで行うことが理想です。

臨時総会はもちろん、臨時理事会や臨時修繕委員会の開催も当然必要になります。

 

1.〇月〇日<修繕委員会>(マンション管理士説明)

・施工方式として大きく以下2つの方式があり、いずれかの方式で請負契約を締結する事になります。

①「責任施工方式」

②「設計監理方式」

それぞれの善し悪しは有りますが、透明性を担保するなら「設計監理方式」しかないと考えます。

工事の施工方式(案)が決まったら、選定方法(案)を確認します。

①専門家を選定するプロセス

②専門家を選定する上での基準

③候補の募集方法

 

以上を修繕委員会でまとめ、理事会へ答申案を提出

 

2.〇月〇日<理事会>

・修繕委員会より、上記1.を受けて承認を行う

・次に、大規模修繕工事のコンサルタント業務を委託する設計コンサル選定の具体的方法を確定するよう修繕委員会へ諮問

 

3.〇月〇日<修繕委員会>

・理事会の承認のもと、設計コンサル選定の具体的な方法を確定し理事会へ答申

 

4.〇月〇日<理事会>

・修繕委員会からの専門家選定方法を一般組合員に対する「住民説明会」の内容や日程を決定

 

5.〇月〇日<住民説明会>

・大規模修繕工事を進める手順と専門家選定方法を説明

 

6.〇月〇日<公募>

・業界新聞や館内掲示にて公募(マンション管理士手配)

 

7.〇月〇日<修繕委員会(足切り選考)>

・応募事務所の中から公募条件から外れる事務所を除外

・一次選考を行う為、事務所に対して「事務所概要書」の提出を求める

・一次選考の為の比較表を準備する(マンション管理士作成)

 

8.〇月〇日<理事会>

・上記7.の承認

 

9.〇月〇日<修繕委員会(一次選考)>

・一次選考を行い「見積もり」を取得する設計コンサルの決定

・理事会への答申案を決定

 

10.〇月〇日<理事会>

・上記9.の答申案を承認

・組合員に対して「設計コンサル選定方法」の広報を行う

 

11.〇月〇日<修繕委員会>

・一次選考通過の設計コンサルに対し見積もりを依頼

・見積作成に必要な「現地調査」立会い日程の調整(修繕委員会の立会い必要)

 

12.〇月〇日<理事会・修繕委員会合同「見積もり開封会」>

・見積書の扱いは厳重に!多くの関係者の前で開封するのが一般的です

・開封された各事務所の「見積もり比較表」を作成(マンション管理士作成)

 

13.〇月〇日<修繕委員会(二次選考)>

・最終選考設計コンサル候補の決定

・公開ヒアリングの日程等の準備

・理事会への答申案を決定

 

14.〇月〇日<理事会>

・上記13.を承認

 

15.〇月〇日<修繕委員会>

・公開ヒアリングの日程確定

 

16.〇月〇日<理事会・修繕委員会合同(最終選考)>

・公開ヒアリングを開催

・公開ヒアリング直後に内定1社を決定

 

17.〇月〇日<住民説明会>

・設計コンサル選定経緯と結果について

 

18.〇月〇日<理事会>

・設計コンサルへの委託決定

・議案の確定(コンサルタント業務委託先と発注金額及び修繕積立金の取り崩し)

・臨時総会開催準備

 

19.〇月〇日<臨時総会前の議案説明会>

臨時総会当日に参加できない、議案の内容をよく確認したうえで総会に出席したい、という組合員の為にも開催する事が望ましい(合意形成)

・コンサルタント業務委託先と発注金額及び修繕積立金の取り崩しについて

 

20.〇月〇日<臨時総会>

・コンサルタント業務委託先と発注金額及び修繕積立金の取り崩し

 

21.〇月〇日<業務委託契約>

・設計事務所と業務委託契約

・「劣化診断・修繕設計・施工会社選定・工事監理」の各工程を一括契約するのか、工程ごとの契約とするかの判断も必要

・つまり、設計コンサルが「劣化診断」において管理組合の求める仕事を行わなかった場合、「修繕設計」以降の業務は考えさせてもらう、という事もあり得るので、各工程ごとに設計コンサルとの間で契約を交わすという事も考えられます。

 

 

 

まとめ

・長期修繕計画において定められた「大規模修繕工事」の時期を目安に、おおよそ「2年前」を目途に検討を行います。

・大規模修繕工事は、その工事の規模や扱う金額の大きさから、理事会や修繕委員会のメンバーでは対応できない事が多々あると考えます。

・「責任施工方式」、「設計監理方式」のいずれを採用した場合においても、最低でも、設計コンサル(施工会社)選定までの期間は、「マンション管理士」等の専門家を活用しましょう。

 

 

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