【防犯カメラ運用細則】ひな型を使用する際に必ず押さえておきたいポイント

マンション

サラ管ブログのはじめに 

他人任せで本当に良いのですか?あなたの約8割もの財産を‼

仮にマンションの購入金額が3000万円だとします。

その内あなたが直接享受できる利益はせいぜい約2割の600万円分しかありません。

実際、あなたの部屋を見渡してください。

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土地や建物の共用部分等に残りの8割の財産が「マンション管理組合」により管理運営がされています。

これを機会に関心を持ってみませんか?

マンション管理組合に。

こんにちは!サラリーマン・マンション管理士ブログの「サラ管」です。

先ずは簡単な自己紹介です。

私はサラリーマンの傍らで「マンション管理士」としてのスキルアップを日々心掛けてるアラフィフおやじの「サラ管」です。

好きな言葉は「継続は力なり」。サラ管ブログを通じて、皆様の人生において私の人生経験が少しでも役立てればと思い、記事を書き記したいと思います。

それでは本題に入っていきたいと思います。

【防犯カメラ運用細則】ひな型を使用する際に必ず押さえておきたいポイント

最終更新日 令和5年8月2日

私が参加するマンションで以下のような事が起こりました。

管理員さんより、

理事長、「防犯カメラの映像を大至急確認してほしい」と組合員から申し出がありました。

 

わかりました。至急という事であれば【防犯カメラ運用細則】に定められてるので理事長の私の判断で閲覧を許可しましょう。

防犯カメラ運用細則の閲覧については、マンション管理センターや大手警備会社のひな型に以下の内容で案内されてます。

(記録映像の閲覧)
第 7 条 理事会は、次の各号のいずれかに該当する場合に限り、理事会の決議を経て、防犯カメラの記録映像を閲覧することができる。ただし、理事会の決議を経る時間的余裕がないときは、理事長の判断により閲覧することができる。この場合、理事長は、事後速やかに理事会に報告しなければならない。

 

話を戻しまして、

閲覧請求は共用部分に貼られたポスターを無断で剥がす事案に対応するものでした。

その後、剥がしたのはマンションの組合員であるということが判明。

剥がした組合員に対して注意を行ったところ、

 

組合員

防犯カメラで確認したの?何を根拠に防犯カメラを見たのよ、プライバシーの侵害だわ。説明しなさい!

これに対して理事長は、

防犯カメラの運用細則を根拠に確認させてもらいました。

 

ここで私が疑問に感じたのが、運用細則は確かに理事長判断で閲覧できると定められてますが、規約にその根拠が示されているのか・・・。

規約に定めその詳細を細則として定める

 

たしか、H28の標準管理規約改正で理事長権限が強化されたのは、

災害等緊急時の保存行為

だったはず・・・。

管理行為についても定めがあったかな?

という疑問。

細則だけを根拠に理事長判断で閲覧できるのか?規約とし根拠が必要だと思うが・・・?

 

 

防犯カメラ運用細則のひな型を使っている、或いはこれから使う予定のマンション管理組合関係者の皆様へ

 

運用細則のひな型(閲覧に関する事項)を採用した場合、多くのマンションは規約条文を追加する必要があります!

 

 

 

管理規約に理事長権限の根拠を示す事が前提

区分所有法第18条(共用部分の管理)において、

共用部分の管理に関する事項は、前条の場合を除いて、集会の決議で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。

2 前項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。

管理に関することは規約で定めることが出来るので、理事長権限について規約に定められていれば閲覧は問題ないです。

しかし、多くのマンションが標準管理規約を採用する為、規約で別段の定めは無い(ここでいう理事長権限での閲覧)と思われます。

また、標準管理規約にも理事長権限で防犯カメラを閲覧できるという管理行為についての定めもありません。

標準管理規約では共用部分の管理に関しては総会決議が必要とされています。

標準管理規約第21条(敷地及び共用部分等の管理)
敷地及び共用部分等の管理については、管理組合がその責任と負担においてこれを行うものとする。

【防犯カメラの運用】を管理組合の「管理」の範囲と考えた場合、以下を根拠に総会決議が必要です。

標準管理規約第48条(議決事項)
次の各号に掲げる事項については、総会の決議を経なければならない。            十五 その他管理組合の業務に関する重要事項

使用細則(運用細則)に定められた権限は、規約において定めることが大前提だと考えます。

なぜなら細則とは、

基本的事項を規約で定め、その範囲で細則の決定を集会の決議に委ねる

(財)マンション管理センター編著・発行「マンション管理の知識」より抜粋

とあります。

 

規約で定められてない、総会決議もされてない、そんな使用細則(運用細則)は果たして有効なのか疑問です。

 

マンションの管理規約に理事長権限の根拠がない理由

大多数のマンションが標準管理規約を採用してるため

理事長権限として「保存行為」については、H28標準管理規約の改正で「災害等の緊急時の対応」が示されました。

H29以降分譲されたマンションでは「保存行為」に関しては、

標準管理規約21条6項6 理事長は、災害等の緊急時においては、総会又は理事会の決議によらずに、敷地及び共用部分等の必要な保存行為を行うことができる。

と定められてる筈です。

しかし、「管理行為」に関しては示されていません。

平時に想定される、例えば今回のような「急を要する場合の防犯カメラの閲覧」について、

理事長権限をどこまで認めるのか?

各々のマンションにおいて規約に「別段の定め(理事長権限の範囲等)」が必要!

だと考えます。

運用細則で定められた理事長権限(防犯カメラ運用細則「理事会の決議を経る時間的余裕がないときは、理事長の判断により閲覧することができる。」)の根拠が管理規約に定められてない場合、のちに問題が発生した時のトラブルの原因になります。

管理規約に根拠がない「運用細則」とならない為に

運用細則を変えるのではなく、

新たに規約として定めてることをお勧めします

区分所有法第18条(共用部分の管理)

共用部分の管理に関する事項は、前条の場合を除いて、集会の決議で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。

2 前項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない

規約で別段の定めをすることを妨げない

つまり「平時に急を要する事態が発生した場合」の理事長権限として、マンション独自に規約を定めることが出来ます。

理事会で審議する、あるいは専門委員会(規約委員会)を設置して規約を検討させ、最終的には総会(特別決議)に諮る必要があります。

例えば、標準管理規約第21条(敷地及び共用部分等の管理)の、

敷地及び共用部分等の管理については、管理組合がその責任と負担においてこれを行うものとする。

この条文に、理事長権限を加える、という事も考えられるのではないでしょうか。

 

まとめ

マンション用の「防犯カメラ運用細則」のひな型にある、

「理事会の決議を経る時間的余裕がないときは、理事長の判断により閲覧することができる」

これを裏付ける根拠として、

規約に「理事長権限での閲覧を認める」等の理事長権限の範囲を明確に定める条文が必要です。

標準管理規約に倣った規約の状態だと根拠のない運用細則として問題が発生する事も考えられます。

 

 

 

 

 

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