【修繕周期は関係ない⁈】理事会で迅速に決議すべき修繕と方法を解説します

マンション

サラ管ブログのはじめに 

他人任せで本当に良いのですか?あなたの約8割もの財産を‼

仮にマンションの購入金額が3000万円だとします。

その内あなたが直接享受できる利益はせいぜい約2割の600万円分しかありません。

実際、あなたの部屋を見渡してください。

3000万円分の価値を実感できますか?

あなたの目で見えるものが約2割の価値という事です。(キッチン・ユニットバス・洗面・扉等の造作・フローリング・クロス等・・・ちなみに玄関ドアや窓・サッシュは含まれません)

土地や建物の共用部分等に残りの8割の財産が「マンション管理組合」により管理運営がされています。

これを機会に関心を持ってみませんか?

マンション管理組合に。

こんにちは!サラリーマン・マンション管理士ブログの「サラ管」です。

先ずは簡単な自己紹介です。

私はサラリーマンの傍らで「マンション管理士」としてのスキルアップを日々心掛けてるアラフィフおやじの「サラ管」です。

好きな言葉は「継続は力なり」。サラ管ブログを通じて、皆様の人生において私の人生経験が少しでも役立てればと思い、記事を書き記したいと思います。

それでは本題に入っていきたいと思います。

【修繕周期は関係ない⁈】理事会で迅速に決議すべき修繕と方法を解説します

投稿日:2021.6.1

更新日:2022.3.8

 

とある日のAマンションの理事会において、

 

管理員さん

防火戸の開閉が上手く作動しないんです・・・

 

管理員さんより10階の「防火戸」が正常に作動しないと報告がありました。

 

そこで、ある理事からはこのような意見が・・・

 

いつか直す必要はあると思いますが、こんな時期だし総会を開催してまで取り決めるのも面倒だし・・・。

 

それじゃ、来年に予定している「大規模修繕工事」と抱き合わせて直したら良いじゃないですか。

と提案があり、

 

そして別の理事からも、

それもそうですよね。費用の支出の問題もありますし、そんなに急ぐ必要はなさそう。

 

理事長より、

じゃあ皆さん、来年の大規模修繕と一緒に工事しようと思います。そうすれば大規模修繕前に行う臨時総会の時に住民の方にも修繕工事と併せて説明できるので手間も省けます。修繕委員長には私から伝えときます。

 

 

ちょっと待ったぁ~‼

「ちょっと待ったぁ~!」と、マンション管理士からの一声。

 

どういう事でしょうか?

人命にかかわる事は即時対応が必要

平時においては、防火扉など作動しなくても問題ないと考えがちです。

しかし、自分一人で住むにはそれで良いかもしれませんが、マンションにおいては当然そのような判断は禁物です。

 

緊急の建物保存行為として理事会決議にて早急に修理すべきです。

総会には事後報告で問題ありません。

もし事故等があったときは管理組合の責任が問われることになるので、迅速な対応が必要です。

 

適切な対処をする為には

このマンションにおいて迅速に対処できた理由として、

・マンション管理士の存在

・管理規約に定められ事項を把握し運用できたこと

が挙げられます。

 

また、「防火戸の修理」を先送り事案にしようとした背景には、

1.大規模修繕工事が目前に控えていた

2.理事それぞれが防火戸の重要性を認識していなかった

3.「急を要する事案」の理事会決議ができる事を理事が理解していなかった

が挙げられます。

 

これには、マンション管理・運営の専門的な知識不足が挙げられるので、専門家を採用する必要性を読者の方にも認識してもらえるのではないかと思います。

 

つまり、マンション管理士の指摘がなければ、先送りされ、或いは重大事故に発展したかもしれません。

 

規約事項を適切に運用するには

理事会において迅速に決議する為には、

管理規約を理解する事が必要です。

 

その為には管理規約の運用に精通した、

マンション管理士等の専門家の採用

が不可欠だと考えられます。

 

「管理会社の担当者や管理員も頼りになるよ」と言う声もあると思いますが、担当者の質の問題もあります。

管理員は法令や規約には精通していないと考えられますし、管理会社のフロントマンは優秀な方とそうでない方の差がかなりあると感じます。そして何より、管理規約はマンション毎に作られているので、マンション管理士等の専門家に確認する事が必要ではないかと考えます。

 

総会決議ではなく理事会決議で行えた理由

共用部分に係る工事は「総会決議」が必要なのでは?

と言う疑問があると思います。

 

本来、共用部分等の修繕工事(保存行為)は、規約に定めが無い限りは個人の判断でできるとされています。しかし、共用部分を区分所有者が勝手に修繕した場合、例えば美観が損なわれる等の不都合がおこり得ますので、多くのマンションが管理規約において「保存行為は管理組合において行う」と定めていると考えられます。

 

以下、Aマンションの規約内容を抜粋

【敷地および共用部分の管理】管理規約○○条(標準管理規約21条1項部分に相当)

敷地及び共用部分等の保存及び管理については、管理組合がその責任と負担においてこれを行うものとする。

この場合、通常は総会において工事の承認が行われるわけですが、緊急時などは総会の手続きを得る時間が無い場合もあります。そのような時に、規約において理事会の決議事項を明確に定めておく必要があります。

 

今回のケースでは、以下の規約事項を根拠に理事会において決議が行われました。

【理事会議決事項】管理規約第○○条(標準管理規約54条部分の相当)

理事会は、この規約に別に定めるもののほか、次の各号に掲げる事項を決議する。

八 対象物件の保存行為に関する適切な対応処置

 

ただ、理事会において緊急を要すると考えられた場合、理事会承認の上で応急的に工事を行い総会に事後報告、という事も可能だと考えられます。

しかし、予め規約事項とする事が無難である事は言うまでもありません。

 

管理規約を適切に運用しましょう

迅速に意思決定が図れる「仕組み(規約の整備と専門家の活用)」が重要である事をお判りいただけたと思います。

人命にかかわる共用部の管理に関して、

1.人命にかかわる管理事項の抽出(防火戸・非常階段や誘導灯など)

2.急を要する事案に迅速に対処できる管理規約の整備

を行う必要があります。

 

のちのち物言う組合員から、

なんで総会に諮らなかったの!みんなの判断を仰ぐべきでしょ‼

なんてことも考えられます。

規約の適時適切な運用には、マンション管理士等の専門家の助言が必要になると考えます。

 

 

「H28標準管理規約コメント」が参考になります

迅速に対処できる規約作成の根拠(裏付け)を、以下標準管理規約コメントで確認できます。

「迅速に意思決定が図れるよう管理規約を整備する」根拠として、

国土交通省が示している標準管理規約及び標準管理規約コメントを引用してますので、ご確認ください。(長文で堅苦しいので、太字部分(黄色のアンダーマーカー)を見て頂ければ大丈夫です!)

H28標準管理規約の改正で「災害等の緊急時の対応」が示されました。

標準管理規約21条6項6 理事長は、災害等の緊急時においては、総会又は理事会の決議によらずに、敷地及び共用部分等の必要な保存行為を行うことができる。

標準管理規約コメント

災害等の緊急時において、保存行為を超える応急的な修繕行為の実施が必要であるが、総会の開催が困難である場合には、理事会においてその実施を決定することができることとしている(第54条第1項第十号及びコメント第54条関係①を参照。)。しかし、大規模な災害や突発的な被災では、理事会の開催も困難な場合があることから、そのような場合には、保存行為に限らず、応急的な修繕行為の実施まで理事長単独で判断し実施することができる旨を、規約において定めることも考えられる。更に、理事長をはじめとする役員が対応できない事態に備え、あらかじめ定められた方法により選任された区分所有者等の判断により保存行為や応急的な修繕行為を実施することができる旨を、規約において定めることも考えられる。なお、理事長等が単独で判断し実施することができる保存行為や応急的な修繕行為に要する費用の限度額について、予め定めておくことも考えられる。
⑫ 第6項の災害等の緊急時における必要な保存行為の実施のほか、平時における専用使用権のない敷地又は共用部分等の保存行為について、理事会の承認を得て理事長が行えるとすることや、少額の保存行為であれば理事長に一任することを、規約において定めることも考えられる。その場合、理事長単独で判断し実施することができる保存行為に要する費用の限度額について、予め定めておくことも考えられる。

 

 

 

まとめ

・防犯扉などの人の命や安全にかかわる事項は、例え修繕時期が近付いているからと言って先送りにしてはいけません。理事会承認の上で早急に工事を行ってください。

・規約において理事会での工事承認が出来ないと定められていても、このようなケースでは総会への事後承認でも問題ないと考えられます。

・しかし、予め「規約事項」として定めておくことをお勧めします。

・管理規約の細かい部分での判断は、マンション管理士等の支援が必要だと考えられます。

 

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