サラ管ブログのはじめに
他人任せで本当に良いのですか?あなたの約8割もの財産を‼
仮にマンションの購入金額が3000万円だとします。
その内あなたが直接享受できる利益はせいぜい約2割の600万円分しかありません。
実際、あなたの部屋を見渡してください。
3000万円分の価値を実感できますか?
あなたの目で見えるものが約2割の価値という事です。(キッチン・ユニットバス・洗面・扉等の造作・フローリング・クロス等・・・ちなみに玄関ドアや窓・サッシュは含まれません)
土地や建物の共用部分等に残りの8割の財産が「マンション管理組合」により管理運営がされています。
これを機会に関心を持ってみませんか?
マンション管理組合に。
こんにちは!サラリーマン・マンション管理士ブログの「サラ管」です。
先ずは簡単な自己紹介です。
私はサラリーマンの傍らで「マンション管理士」としてのスキルアップを日々心掛けてるアラフィフおやじの「サラ管」です。
好きな言葉は「継続は力なり」。サラ管ブログを通じて、皆様の人生において私の人生経験が少しでも役立てればと思い、記事を書き記したいと思います。
それでは本題に入っていきたいと思います。
【管理費等の減額】エレベーターを使用しないという理由で減額は可能なのか?
先日、マンションの1階に住む区分所有者の方から、
1階の組合員はエレベーター(EV)を使わないのに保守点検費を払うのには納得できないわ。せめて管理費の負担割合を変えてもらう事は出来ないのかしら?
という相談を受けました。
結論から申しますと、
一般的に管理費の減額は出来ないと考えられます。
EVを使わなくても管理費等の減額は現実的ではありません
例え、1階に住んでいるのでEV使わないからと言って、管理費等の減額請求は現実的ではありません。
なぜなら、マンションの管理規約において管理費等の「負担割合」が定められているからです(一般的には専有面積の持分の割合に応じて定められます)。
もし規約に負担割合の定めが無ければ、
区分所有法の第19条に従い、「各共有者は、規約に別段の定めがない限りその持ち分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する」
と規定されていますので、共用部分の持分割合が負担割合となります。
じゃあ負担割合を変えてもらう事は出来ないのかしら?
負担割合の変更には「規約の変更」が必要になります。規約の変更は集会での特別決議事項となりハードルはかなり高く現実的ではありません。
EV使わずとも遠からず利益を享受しています
マンションの管理運営を適正に行う為には、「公平」、「公正」を大原則とします。
1階の区分所有者がEVを使わないという理由で、管理費の減額を行う事は好ましくありません。
その理由として、
エレベーターを使わなくてもマンション購入時に「その利益を既に享受している」と考えられる、或いは、現状においても「間接的に享受している」と考えられるからです。
例えば、
1.分譲時の販売価格でその利益を享受している。
2.定期的に行われる設備等の点検作業、大規模修繕工事の工事費等で享受している(例えば、工事費等の見積もりの作業明細「運搬費」はEVの有無で変わります)。
現実問題として、「共用部分」の利用頻度を「管理費」に反映させる事は不可能です。
「車」や「バイク」、「自転車」に乗る区分所有者とそうでない区分所有者や、スロープが必要な区分所有者とそうでない区分所有者・・・言い出したらきりがないです。
とは言え、減額の手段(負担割合を変えてもらう方法)は全く無いのか?不可能なのか?と言えばそうでもありません。
管理費等の減額の手段(負担割合を変更する方法)
ハードルはかなり高いですが、不可能ではありません。
管理費等の減額の手段(負担割合の変更)は2つの方法が考えられます
1.理事会に諮ってもらい総会議案(特別決議事項)にする
2.1.が無理な場合に臨時総会を招集する(こちらも特別決議事項)
負担割合を変更する事はハードルが高く現実的ではありませんが、不可能ではありません。
1.理事会に諮ってもらい総会議案にする
理事に直談判等することで、理事会審議事項として取り上げられるかもしれません。理事会審議事項として取り上げられ承認された場合、総会に上程されます。総会で特別決議で可決された場合、「負担割合」が変更されます。
ステップ1.理事会で審議事項としてもらう
ステップ2.理事会で承認してもらう
ステップ3.総会で特別決議で可決
しかし、これらをクリアする事は非常に困難だと思います。
2.1.が無理な場合に臨時総会を招集する
理事会の審議事項として取り上げてもらえない場合、賛同者(区分所有者及び議決権の5分の1以上)を募り、臨時総会の招集を請求することが出来ます。
根拠条文として、
区分所有法 第34条
3 区分所有者の五分の一以上で議決権の五分の一以上を有するものは、管理者に対し、会議の目的たる事項を示して、集会の招集を請求することができる。ただし、この定数は、規約で減ずることができる。
4 前項の規定による請求がされた場合において、二週間以内にその請求の日から四週間以内の日を会日とする集会の招集の通知が発せられなかつたときは、その請求をした区分所有者は、集会を招集することができる。
5 管理者がないときは、区分所有者の五分の一以上で議決権の五分の一以上を有するものは、集会を招集することができる。ただし、この定数は、規約で減ずることができる。
EVが設置されているマンションでは、区分所有者及び議決権の5分の1以上の賛同者がえられることは考えにくいです。
もし負担割合の変更が認められたなら・・・
負担割合の変更が認められたならどのように規約事項として定めるのか?
負担割合の変更が認められた場合の規約の定め方
規約の条文として・・・
「規約」の変更を検討する際、条文を以下のように定めることが考えられます。
管理費の負担割合は「細則」で定める(具体的に割合を定めない方が良いです)
このように定めておけば、負担割合を「細則」の変更を議題とした総会の「普通決議」で定めることが可能です。
・「規約」の変更 ⇒ 特別決議事項(ハードル高い!)
・「細則」の変更 ⇒ 普通決議事項
そして、次に「細則」において以下のように定めます。
“1階の区分所有者のみ管理費の負担割合を一割減額する”
まとめ
・例え、1階に住んでいるのでEV使わないからと言って、管理費等の減額請求は現実的ではありません。なぜなら、マンションの管理規約において管理費等の「負担割合」が定められているからです。
・例えエレベーターを使わなくても、マンション購入時に「その利益を既に享受している」と考えられる、または「間接的に享受している」と考えられます。
・しかし、規約の設定や変更によりエレベーターを使わないという理由で「管理費」等の負担割合を変える事は不可能ではありません。
・管理費等の減額の手段(負担割合の変更)は2つの方法が考えられます。
1.理事会に諮ってもらい総会議案(特別決議事項)にする
2.1.が無理な場合に臨時総会を招集する(こちらも特別決議事項)
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