【実録解説‼】大規模修繕工事を進める上で最も重要なポイントとは<修繕設計編>

マンション

サラ管ブログのはじめに

他人任せで本当に良いのですか?あなたの約8割もの財産を‼

仮にマンションの購入金額が3000万円だとします。

その内あなたが直接享受できる利益はせいぜい約2割の600万円分しかありません。

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あなたの目で見えるものが約2割の価値という事です。(キッチン・ユニットバス・洗面・扉等の造作・フローリング・クロス等・・・ちなみに玄関ドアや窓・サッシュは含まれません)

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これを機会に関心を持ってみませんか?

マンション管理組合に。

こんにちは!サラリーマン・マンション管理士ブログの「サラ管」です。

先ずは簡単な自己紹介です。

私はサラリーマンの傍らで「マンション管理士」としてのスキルアップを日々心掛けてるアラフィフおやじの「サラ管」です。

好きな言葉は「継続は力なり」。サラ管ブログを通じて、皆様の人生において私の人生経験が少しでも役立てればと思い、記事を書き記したいと思います。

それでは本題に入っていきたいと思います。

 

【実録解説‼】大規模修繕工事を進める上で最も重要なポイントとは<修繕設計編>

最終更新日 令和5年8月2日

【重要ポイント】

・修繕設計の過程で「臨時総会」開催は必須です。工事発注前に一般的に行われる施工会社・発注金額など承認のための「工事施工前の臨時総会」開催時の混乱を事前に予防する為に必要です。

・臨時総会前の「住民説明会」の開催も必須です。総会を円滑に行うという観点からも非常に重要だと考えます。

 

 

あるマンションの組合員よりこのような話を聞きました。

 

 

私の知人のマンションにおいて「大規模修繕工事」が行われ、その工事内容が杜撰だったので、知人が理事長に経緯の説明をするよう申し出ても取り合ってくれないそうなんです。

 

どうやらそのマンションでは、定例総会の事業計画において、事前に大規模修繕工事の承認を得たものの、その後の「設計会社」や「工事施工会社」の選定作業を、組合員や理事メンバーの無関心を良いことに理事長が半ば強引に行ったようです。

 

このようなケースは「責任施行方式(設計施工を同一の会社が請け負う)」では「珍しくない」のではないでしょうか。

 

透明性を担保する為に「設計監理方式(設計と施工を分けて発注)」をお勧めします!

 

一般的に大規模修繕工事の工程は大きく、

1.専門家の選定(所要期間6カ月程度)

2.建物調査・診断(3カ月程度)

3.修繕設計(3カ月程度)

4.施工会社選定(6カ月程度)

5.工事監理(工事開始~引き渡し:8カ月程度)

と進みます。

 

これら各工程において、それぞれ重要なポイントがあります。

 

ポイントを押さえないと、大規模修繕工事の適正性・透明性が確保できなくなることも考えられますので、管理組合の役員の方はご注意を!!

 

そこで、今回は「修繕設計」において注意すべきはどこなのか?

 

専門委員会(修繕委員会)が設置されたマンションにおいて、設計監理方式(設計と施工を分けて発注)を採用した場合の注意すべきポイントを、

修繕設計【ステップ1】~修繕設計【ステップ6】

と順に解説します。

 

「専門委員会について」はこちらの記事をご参考に>>>【実録】新任役員を迎えた第一回定例理事会の「報告事項」の内容を解説します

 

私が実際に行っている手順(マニュアル)で解説したいと思います!(投稿時約260戸と約30戸の大規模修繕をほぼ同時期に手掛けています)

 

ちなみに「修繕設計」とは、

「調査・診断により修繕すべきとされたものについて、どんな材料と工法でどのように修繕すべきかを明らかにしたもので、それに基づき工事費の見積もりが出来て、かつ、適切な工事施工が行えるもの」<財)マンション管理センター編著 マンション管理の知識より抜粋>

修繕設計案を検討する

修繕設計【ステップ1】

設計会社(設計コンサル)の「劣化診断」により導き出された「修繕設計案」を、修繕委員会において検討します。

 

 

まず最初に設計事務所から提示される一般的な「修繕設計案」には、

1.工事仕様書
2.金抜き明細書

があります。

 

そしてこの「工事仕様書」と「金抜き明細書」を、設計事務所の担当者が修繕委員会のメンバーに対して詳細に説明していきます。

説明を受ける修繕委員会メンバーは些細なことでも不明な点があれば確認する事が必要です。

 

以上を、設計事務所のサポートを得ながら修繕委員会のメンバーで「検討」を行います。

 

修繕設計案を確定する

修繕設計【ステップ2】

修繕設計案を修繕委員会のメンバーで確定します。

 

修繕委員会で「検討」を行った結果をもとに設計事務所が、

1.(検討後に確定した)工事仕様書
2.内訳明細書

を提示します。

<大まかな内容>

①共通仮設

②直接仮設

③下地補修工事・タイル補修工事

④シーリング工事

⑤内外壁塗装工事

⑥鉄部塗装工事

⑦防水工事(バルコニー・屋上・廊下・階段)

⑧洗い工事

⑨その他工事

修繕設計より前の段階で行われる「劣化診断」により、①~⑨の各工事の「劣化度や緊急度」を考慮し工事の必要な箇所と現状で使われている「工事仕様」が示されます。

そして、対象マンションの大規模修繕工事において、

・「推奨」仕様とその施工方法(予算に余裕があれば採用)
・「減額」仕様とその施工方法(予算的に厳しい場合に採用)

が、設計事務所より示されます。

 

また、上記の工事仕様書に則って「内訳明細書」には概算工事費が示されますが、修繕委員会はそれらに基づいて、設計事務所のサポートを得ながら予算等を鑑み、理事会への答申案を確定します。

 

 

ここで良く起こる「勘違い事例」を紹介します。

 

内訳明細の○○○の工事は、もっと安く出来ないのかね・・・。

 

そうよ、もう少しくらい安くできるはずよ。ちゃんとメーカーに問い合わせて内訳明細を作成されたのですか?

 

えっ?どこが「勘違い事例」なの???

 

と考える方も多いと思います。

 

【重要ポイント】「内訳明細書」の金額は、実際の工事を行う際の「見積金額」ではありません。ここで内訳明細の金額を議論する事は時間の無駄です!

 

修繕委員会で検討され確定した工事仕様書をもとに設計事務所が導き出した「内訳明細」なので、工事仕様書をもとに施工会社が工事を前提に導き出す「見積金額」とは異なります。

ここで設計事務所は、管理組合が後々予算オーバーとならない為に「MAX(上限)工事費」の内訳明細を導きだしてくると思われます。

後に提示される施工会社の「見積金額」が設計事務所の「内訳明細」を超えるようなことがあれば、設計事務所の面目は丸つぶれといえるでしょう(´;ω;`)ウッ…。設計事務所失格!

 

理事会への答申・理事会の承認

修繕設計【ステップ3】

修繕委員会は、理事会に対して上記の「修繕設計案」を答申します。

理事会は、修繕委員会からの答申案を検討し承認します。

 

理事会では同時に、臨時総会に向け議案書の内容の検討、臨時総会と住民説明会の日程調整を行います。

 

住民説明会開催(総会と住民説明会はセット)

修繕設計【ステップ4】

総会開催1週間前を目途に「住民説明会」を開催します。

 

大規模修繕工事の「修繕設計」段階における、

・工事仕様書・内訳明細書等

の議案の説明会を開催します。

 

【重要ポイント】総会前の「住民説明会」は必須!

と私は考えます。

 

これは、臨時総会に参加できない組合員や、議案の内容に疑問や意見がある組合員に対して非常に有効であり、組合員の合意形成を図るという観点から非常に重要だと考えます。

また、総会を円滑に進める為にも有効です。

(但し、コロナ禍のもとでは中止もやむなし⁈)

臨時総会開催(工事仕様書・施工会社公募基準等)

修繕設計【ステップ5】

臨時総会を開催します。

【議案】

1.工事仕様書

2.内訳明細書

3.工事発注先の公募基準

4.工事発注先の選定基準

5.予算

以上、「臨時総会」を開催し、組合員の承認を得ます。

 

【重要ポイント】ここで「臨時総会」開催は必須!です。例外なし!!

 

理由として、

運営の円滑化と透明性と言う観点から、後に行われる工事発注前に、一般的に行われる「施工会社・発注金額」承認のための「臨時総会」開催時の混乱を事前に予防する為

です。

 

ここで工事直前の時期に、「施工会社・発注金額」承認のための「臨時総会」開催時前によくあるケースとして、

 

理事長:工事に取り掛かる準備が出来たので皆さんご承認を願いします!

 

組合員:え、そんな立派な仕様が必要なの?今まで知らされてなかったはず・・・。

 

その箇所の工事は今必要ないでしょ!再検討が必要では⁈

 

などの意見が出れば、「工事仕様書」の再検討が必要になるケースがあります。

 

えっ・・・・なんで・・・。再度「工事仕様書」から検討しなければならないの・・・。

 

「振り出し」とまではいきませんが、大きな時間と労力のロスになります。

 

それらを防止する為に、修繕設計案が確定した時点で組合員の承認を得ておくべきです。

 

「修繕設計案」が理事会で承認された後「臨時総会」を開催し組合員から承認を得る!この合意形成は必須です!!

 

 

修繕委員会に諮問

修繕設計【ステップ6】

総会の承認のもと理事会が修繕委員会に対し「施工会社選定」を開始するように諮問します。

 

次のステップ「施工会社選定」に進みます。

 

 

 

まとめ

・透明性を担保する為に「設計監理方式(設計と施工を分けて発注)」をお勧めします。

・設計事務所から提示される「内訳明細書」の金額は、実際の工事を行う際の「見積金額」ではありません。この段階(修繕設計)で内訳明細の金額を議論する事は時間の無駄です。

・「修繕設計時の臨時総会」開催は必須です。理由として、運営の円滑化と透明性と言う観点から、工事発注前に一般的に行われる施工会社・発注金額など承認のための「工事施工前の臨時総会」開催時の混乱を事前に予防する為に重要です。

・住民説明会の開催も必須であると考えます。理由は、臨時総会に参加できない組合員や議案の内容に疑問や意見がある組合員に対して非常に有効であり、組合員の合意形成を図り、総会を円滑に行うという観点からも非常に重要だと考えます。

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