区分所有法の「別段の定め」とは?管理規約との関係を解説します!!

マンション

サラ管ブログのはじめに 

他人任せで本当に良いのですか?あなたの約8割もの財産を‼

仮にマンションの購入金額が3000万円だとします。

その内あなたが直接享受できる利益はせいぜい約2割の600万円分しかありません。

実際、あなたの部屋を見渡してください。

3000万円分の価値を実感できますか?

あなたの目で見えるものが約2割の価値という事です。(キッチン・ユニットバス・洗面・扉等の造作・フローリング・クロス等・・・ちなみに玄関ドアや窓・サッシュは含まれません)

土地や建物の共用部分等に残りの8割の財産が「マンション管理組合」により管理運営がされています。

これを機会に関心を持ってみませんか?

マンション管理組合に。

こんにちは!サラリーマン・マンション管理士ブログの「サラ管」です。

先ずは簡単な自己紹介です。

私はサラリーマンの傍らで「マンション管理士」としてのスキルアップを日々心掛けてるアラフィフおやじの「サラ管」です。

好きな言葉は「継続は力なり」。サラ管ブログを通じて、皆様の人生において私の人生経験が少しでも役立てればと思い、記事を書き記したいと思います。

それでは本題に入っていきたいと思います。

 

区分所有法の「別段の定め」とは?管理規約との関係を解説します!!

投稿日2021.3.6

更新日2022.1.30

法律よりも「任意で定めた管理規約」が優先される事があります

「法律」が「規約」に負けてしまう、とイメージすれば分かり易いです!

5秒読んでナニ?と思われた方は、最後に記した「まとめ」だけを読んで下さい

マンションでは、「マンション法(区分所有法)」と呼ばれる特殊な法律に基づき管理・運営が行われます。

この区分所有法の条文にある、但し書きの「別段の定め」という文言は非常に重要です。

 

例えば、

区分所有法第○○条「この法律では○○○○と定める。但し規約で別段の定めをすることが出来る」
という条文があります。

これは、管理組合が独自に定めた管理規約の条文の方が、区分所有法の条文よりも優先する、という事を認めますよ、という事です。

 

話しはそれますが、

通常、マンションには「管理規約」が定められています。

管理規約とは、マンションの住民が守らなければならないそのマンション独自の決まり事を定める(勿論、法の定めのもとに定めます)マンションの「最高自治規範」と呼ばれています。

また、管理規約を定める目的は、

標準管理規約第1条(目的)
この規約は、○○マンションの管理又は使用に関する事項等につい
て定めることにより、区分所有者の共同の利益を増進し、良好な住環境を
確保することを目的とする。         

 

マンションの住民はこの規約のもと一つ屋根の下で規則正しく共同生活を行うことになります。(区分所有者はもちろん、賃借人などの居住者も規約を守らなければなりません)

 

ちなみに規約の作成は、マンション等の建物に係る「区分所有法」という法律に則って行われますが、国土交通省がマンション管理規約のひな型である「標準管理規約」を示してますので、多くのマンションが概ねこの原文を参考に規約を定めています。

 

あなたのマンションにも「独特の決まりごと」があると考えられます

国交省の標準管理規約と、あなたの住むマンションの管理規約とどう違うのか?

日本全国、一つとして同じマンションは有りません。必ず何かしらそのマンションの独自の決まりごとがありますので、是非、皆さんがお住まいのマンションの「管理規約」を、じっくりと読んでみることをお勧めします!

 

「任意で定めた管理規約」が優先されるとはどういう事か?

冒頭にて「マンション法(区分所有法)」は特殊な法律と記しましたが、そこで混乱しやすいのが「区分所有法」の条文中、「規約で別に定める(別段の定め)ことができる」、「別段の定めを妨げない」などの文言が頻繁に使われる事です。

 

法律で決まっていることが「絶対」!ではないの⁉

「絶対ではありません」

私たちは、つね日頃から「法」というものに導かれ、縛られそして守られて生活しています。

ある意味、私たちにとって法律とは「絶対的な存在」であり、それに勝るものは無いと考えそうなものです。

専門家でなければ分かりずらい

マンションの共用部分の持分について、「民法」「区分所有法」では以下のように定めています。

民法では、

民法250条 各共用部分の割合は等しいものと推定される

しかし、区分所有法では、

区分所有法14条1項

  1. 共有者の持分は、その有する専有部分の床面積の割合による。

とされ、区分所有法では部屋の床面積(持分)に応じて公平に定めるべきという考え方のもとに定められています。

 

「区分所有法」「民法」優先するので「専有部分の床面積割合」で決着しそうなものですが、

しかし、区分所有法14条4項(別段の定め)では、

 14条1項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない

どっちやねん❕

 

全戸が同じような間取りのマンションの場合には「民法」の定めを考慮してか、また分かり易くもある「床面積÷全戸数」との考えもあるので、「別段の定め」とすることにより、どちらでも選択できるよう定められていると考えられます。

「謎」です・・・。

また例えば、総会での各戸の議決権

「専有部分の持分の割合」

と区分所有法で定められてますが、これをそのまま採用すると、総会決議の際に議決権総数を出すのが非常に面倒です。

そこで、区分所有法では議決権は専有部分の持分の割合とするが、「規約で別段の定めができる」と定め、

例えば、管理規約で各戸の議決権を、

「各戸1議決権」

とすることにより、総会決議に手間が掛からないようマンション独自に「別段の定め」を規約に定めます。

 

「別段の定め」という意味を理解していない場合や、理解していても法文が存在する事に意識しなければ・・・。

 

正直、「別段の定め」は専門家でなければ分かりずらいと思います。

 

そして実際にマンション住人から以下のような指摘があるかもしれません。

このマンションの管理規約では△△△となっているけど、スマホで検索したところ、区分所有法では×××となってたよ!

だから法律が優先するので、管理規約の△△△は無効だよね

しかし、規約条文を確認したところ「別段の定め」がなされており、「無効」とならず、マンションの管理規約が有効という事になります。

 

法文をよく確認しないと、必ずしも法律が優先しない「規約」も存在するという事です。

 

非常に分かりにくいですね

 

 

では、身近な「交通ルール」で例えましょう。

「通行禁止(但し軽車両は除く)」の標識があった場合。

軽車両がその「通行禁止」標識を無視して通行しても何ら問題はありません。

ただし、軽車両の運転者がその標識を軽車両も含むと勘違い(見落とし)した結果、軽車両は迂回を余儀なくされるでしょう。その結果として或いは損害を被るかもしれません。

 

 

マンションでも「規約(ルール)」を熟知していても、「法律(但し書き)」を知らなければ、その運用を誤ってしまう恐れがあります。(参考例:「理事長解任に係る、監事の議案書の有効性」2018年9月25日東京高裁判決)

 

マンションでは「区分所有法」と「規約(標準管理規約)」は切っても切り離せない存在です。

住民の方々は「規約」をもとに生活されていますが、中には「規約」の内容を十分に把握されずに生活している人も多いです。

 

専門家を活用しよう!

マンション管理士の使命を一言でいえば「管理組合の財産を守る」お手伝いをする事です。

「区分所有法」や「管理規約」等を熟知し、「総会」や「理事会」等の運営や区分所有者の役に立てるよう日々管理組合の利益を最優先に考えるプロフェッショナルです。

是非マンション管理士を活用してみることをお勧めします!

 

まとめ

・管理規約に定めた条文が、国が定めた「法律」に優先することがあります。

・「区分所有法」と「管理規約」の関係を十分に理解することが、健全なマンション管理運営につながります。

・マンション管理士等の「外部専門家」を活用する事で、専門的な支援が受けられる上に、客観性を担保することもできます。

・安い買い物ではありませんが、マンションの財産を守るという観点からも、管理不全マンションに陥る前に専門家の導入検討をお勧めします。

 

 

 

 

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