【取り下げ】出来る?それとも出来ない?上程された総会議案について解説します

マンション

サラ管ブログのはじめに 

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こんにちは!サラリーマン・マンション管理士ブログの「サラ管」です。

先ずは簡単な自己紹介です。

私はサラリーマンの傍らで「マンション管理士」としてのスキルアップを日々心掛けてるアラフィフおやじの「サラ管」です。

好きな言葉は「継続は力なり」。サラ管ブログを通じて、皆様の人生において私の人生経験が少しでも役立てればと思い、記事を書き記したいと思います。

それでは本題に入っていきたいと思います。

【取り下げ】出来る?それとも出来ない?上程された総会議案について解説します

最終更新日 令和6年8月2日

出席しました。今年もコロナ禍での総会開催。もちろん十分に配慮がなされた上での開催となりました。

以下の記事もご参考に

 

5月の最終日曜日、私が参加している管理組合の総会に出席してきました。

その中で特に印象に残ったことを記したいと思います。

それは、総会議案の説明も終盤に差し掛かり、来期の事業計画案及び収支予算案の説明が終わった際の出来事です。

組合員から、

収支予算案の支出科目「コミュニティ費」について、○○○○に使うのは問題があると思う。私の意見に賛同してくれる人もいるので、もう一度管理組合で再検討を行い臨時総会を開催して決議した方が良いのではないか。

と提案がありました。

私が疑問に思ったのは「コミュニティ費」再検討の必要性云々ではなく、この議案を再検討、つまり引っ込める事、

総会開催中の議案の「取り下げ」は可能なのか?

という事でした。

以前、あるマンションを訪れた際に1階エレベーターホール掲示板の総会議事録に、

「第○○号議案は再検討の必要がある為、取り下げました」

と記されていました。

その際、あまり深く考えませんでしたが改めて考えると、

理事会側からすれば、「あっ、うっかりしてた!」なんてことで、

議案の「取り下げ」は容易にできるのか⁉

あるいは、議案に納得できない組合員側からすれば議案の「取り下げ」要求のハードルは高いのか低いのか⁉

そのあたりを解説したいと思います。

それではよろしくお願いいたします!

総会の開催前と開催後の違い

議案の取り下げ方法は、「総会開催前日まで」と「総会開催後」で違います。

総会の招集通知と議案書を組合員に送付した後、上程した議案の「取り下げ」は、

総会開催前日まで」なら「取り下げ」出来ます。

総会開催「後」は「取り下げ出来る場合」と「出来ない場合」があります。

総会開催の前日までに「取り下げ」を行う場合

総会開催の前日までに対象議案の「取り下げ」を行う場合、

手順1.理事会において議案取り下げの承認決議を採る。

手順2.議案の取り下げを各組合員に対して通知する。

(最後に、総会当日は対象議案「取り下げ」の説明を組合員に対して行う)

以上の手順により取り下げは可能と考えられます。

総会開催当日に「取り下げ」を行う場合

総会開催当日に対象議案の「取り下げ」を行う場合、

手順1.「取り下げ」に賛成する組合員が過半数あることが必要。

手順2.「取り下げ」について理事会承認決議を採る。

開催の前後関わらず「取り下げ」には理事会承認決議が必要

「取り下げ」には、過半数の賛成に加え必ず理事会の承認決議が必要になります。

理事会承認決議を経て議案を総会に上程するということは、つまり、「取り下げ」にも理事会承認決議が必要になると考えられます。

理事会承認決議がない場合は「取り下げ」が出来ません。

まさに私が出席した総会でのケース。

コロナを考慮して理事の出席を控えさせた結果、半数以上の理事が欠席したので理事会は不成立。例え理事長が「取り下げ」を審議しようとしても理事会不成立の為、議案の「取り下げ」は出来ません。

また、理事長が取り下げの意思(委任状を含めた「取り下げ」の賛成が過半数)を示した場合でも、理事会が対象議案の取り下げに反対すれば「取り下げ」出来ません。

総会成立時点で賛成多数の場合は「取り下げ」が出来ない

例えばある組合員から、

第A号議案について「議案の取り下げ」を提案された場合

第A号議案がすでに「賛成多数の場合」は取り下げ出来ません

第A号議案が賛成多数とは、どういうことか?

その前に、総会の成立要件決議要件を「区分所有法」と「標準管理規約」を基に確認しましょう。

【総会成立要件】

総会は議決権総数の半数以上を有する組合員が出席しなければ成立しません。

【決議要件】

・そして、出席組合員の過半数で決議されます。

区分所有法 第49条(理事)
2 理事が数人ある場合において、規約に別段の定めがないときは、管理組合法人の事務は、理事の過半数で決する。

 

標準管理規約47条(総会の会議及び議事)

1.総会の会議は、前条第1項に定める議決権総数の半数以上を有する組合員が出席しなければならない。

2.総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決する。

「出席」とは、総会当日に会場に出向く組合員以外に、「委任状」や「議決権行使書」の出席も含まれます。

「委任状」とは、

ある人に一定の事項を委任する意思を書き記した文書。

出典:デジタル大辞泉(小学館)小学館

とあります。

つまり代理人を選任したことを証する書面の事ですね。

 

先日もらった総会資料に添付された「委任状」に、一切の権限を理事長に一任します、と書きました。

「議決権行使」とは、

会議などで、議案に対して賛否の意思を表明すること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

すなわち、本人が直接議決権を行使する書面の事です。

第1号議案は「賛成」

第2号議案は「反対」

私は、委任状ではなくて自分の意思を明確に示せる「議決権行使書」を提出します。

話を戻しまして、

第A号議案が賛成多数で「取り下げ」出来ないとはどういう事なのか?

 

「取り下げ」出来ない賛成多数の具体例

対象の議案が以下の場合は「取り下げ」出来ません。

1.提出された「議決権行使書」の賛成が出席組合員の過半数に達している場合

対象の議案が議決権行使書だけで「賛成多数で可決」されるので「取り下げ」出来ません。

2.提出された「議決権行使書」の賛成が出席組合員の過半数に達してない場合でも、総会当日に会場へ出向いた組合員を含めた賛成が過半数に達していた場合

対象の議案が「議決権行使書とその他賛成を合わせて可決」されるので「取り下げ」出来ません。

「取り下げる」理事会側は比較的容易に

一般的に総会への委任状出席が多い事を考えると、理事会側から議案の取り下げは比較的容易だと考えます。

積極的な取り下げでなく、上程議案に何かしら不備等があった場合は適正な手順を踏まえて「取り下げ」を行う事が必要だと考えます。

一方で、組合員側からの議案の取り下げ提案や要求も、議案そのものに不備欠陥がある場合等に限られてくると考えます。

従いまして、組合員側の個人的に或いは少数派の意見を主張した「取り下げ」の提案や要求は出来ないと考えられます。

 

まとめ

総会の出席が理事長一任とされる「委任状」の割合が高い事を考えると、受任側の理事会は比較的容易に「議案の取り下げ」が出来ると考えられます。

上程議案に何かしら不備等があった場合は適正な手順を踏まえて「取り下げ」を行う事が必要だと考えます。

但し、議案は理事会にて慎重に審議された上で総会に上程される前提なので、安易な取り下げは避けなければなりません。

理事会運営に第三者的な立場からチェックが必要ならば、マンション管理士等の専門家を活用し、健全な管理運営が行える体制の構築を検討してはいかがでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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