【普通決議】と【特別決議】2つのマンション決議事項を詳しく解説します!

マンション

サラ管ブログのはじめに 

他人任せで本当に良いのですか?あなたの約8割もの財産を‼

仮にマンションの購入金額が3000万円だとします。

その内あなたが直接享受できる利益はせいぜい約2割の600万円分しかありません。

実際、あなたの部屋を見渡してください。

3000万円分の価値を実感できますか?

あなたの目で見えるものが約2割の価値という事です。(キッチン・ユニットバス・洗面・扉等の造作・フローリング・クロス等・・・ちなみに玄関ドアや窓・サッシュは含まれません)

土地や建物の共用部分等に残りの8割の財産が「マンション管理組合」により管理運営がされています。

これを機会に関心を持ってみませんか?

マンション管理組合に。

こんにちは!サラリーマン・マンション管理士ブログの「サラ管」です。

先ずは簡単な自己紹介です。

私はサラリーマンの傍らで「マンション管理士」としてのスキルアップを日々心掛けてるアラフィフおやじの「サラ管」です。

好きな言葉は「継続は力なり」。サラ管ブログを通じて、皆様の人生において私の人生経験が少しでも役立てればと思い、記事を書き記したいと思います。

それでは本題に入っていきたいと思います。

【普通決議】と【特別決議】2つのマンション決議事項を詳しく解説します!

投稿日2021.4.17

更新日2024.9.2

普通決議(区分所有法第39条第1項)

集会の議事は、この法律又は規約に別段の定めがない限り、区分所有者及び議決権の各過半数で決する

特別決議(区分所有法第31条第1項他)

規約の設定、変更又は廃止は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議によつてする。この場合において、規約の設定、変更又は廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。

 

 

マンションでは、多くの住民が様々な考え方のもとに一つ屋根の下で生活するので、物事を決する際には、合意形成を図る為の努力を行いながら、区分所有法や管理規約等において定められた方法により、最終的には多数決で意思決定を行います。

 

私の参加する管理組合の「理事会」や「三役会議(理事会前打ち合わせ)」での総会へ向けた打ち合わせの中で、

 

管理規約の変更は「特別決議」事項になるのでハードルは高くなります。

 

簡単な共用部分の変更は「普通決議」となります。

 

など、マンション管理士として助言することがあります。

 

議案の決議方法について

先にも記しましたが、マンションにおける議案の決議方法は多数決となります。

決議方法は以下大きく、

1.「普通決議」の方法
2.「特別決議」の方法

2つの方法があります。

 

基本的な考え方として、

1.総会の議案については区分所有者の過半数で決議する

と言う前提をしっかり押さえます。

 

次に、

2.8つの重要な議案にだけは、特別に扱う必要があるので別の方法で決議する

と考えてください。

 

この8つある重要な議案は「区分所有法」で定められていますので、勝手に変えること出来ません。

 

それでは、それぞれの要件やマンションの総会ではどのような議案がどちらの決議事項にあたるのか、詳しく見ていきましょう!

 

普通決議・特別決議の要件

・区分所有法において、以下の8つの議案は「区分所有者数の4分の3以上」かつ「議決権の4分の3以上」の賛成が必要になる「特別決議」の議案です。
1.規約の設定、変更及び廃止(区分所有法31条・絶対的強行法規)
2.管理組合法人の成立
3.共用部分等の重大な変更(区分所有法17条:規約に定めれば区分所有者数のみ過半数に減らせます
4.大規模滅失における建物の復旧
5.専有部分の使用禁止請求
6.区分所有権の競売請求
7.占有者に対する引き渡し請求

 

以下の議案は「区分所有者数の5分の4以上」かつ「議決権の5分の4以上」の賛成が必要になる、とてつもなくハードルが高い「特別決議」の議案です。

8.建物の建替え

 

特別決議事項以外は「普通決議」事項と考えられます。

 

 

具体的な事例

日常的に想定されるのが「規約の設定・変更・廃止」と「共用部分等の変更」です。

 

「何かを始める、何かを止める、何かを変える・・・」

 

このような場合は「普通決議」や「特別決議」が必要になると考えやすいのかなと思います。

 

Q&Aで例を見てみましょう。

問題:マンションの階段部をスロープに変更する

答え:「特別決議」事項(共用部分の重大変更:階段とスロープは全くの別物)

 

問題:スロープ部分の床材をモルタル塗りから滑り止めタイルに変更

答え:「普通決議」事項(共用部分の軽微変更:スロープ機能そのものの変更ではない為)

 

問題:機械式駐車場を平面駐車場に変更したい

答え:「特別決議」事項(両者とも駐車場には変わりないが、構造および収容台数等に大きな変化が生じる為)

 

問題:エレベーターが古くなったので新しく取り替えたい。

答え:「普通決議」事項(軽微変更:同じ物の仕様変更・金額は関係なし)

 

問題:滞納金に対する遅延損害金の利率を3%から8%に変更したい。

答え:「特別決議」事項(規約の変更の為。但し、細則の変更であれば「普通決議」となります。)

標準管理規約第18条(使用細則)対象物件の使用については、別に使用細則を定めるものとする。

 

問題:議決権の割合を現状の「専有部分の床面積の割合」から「各戸1議決権」にしたい

答え:「特別決議」事項(規約の設定)

 

規約の設定・変更や廃止は分かり易いですが、共用部分の変更は少々わかりづらいです。

 

 

決議要件の変更は可能か?

厳格化は可能です(区分所有法31条を除き)。

区分所有法
第39条(議事) 集会の議事は、この法律又は規約に別段の定めがない限り、区分所有者及び議決権の各過半数で決する。

上記太線部を言い換えれば、規約に別段の定めがあればそれに従う、という事です。

こちらの記事もご参考に>>>区分所有法の「別段の定め」とは?管理規約との関係を解説します!!

 

例えば、共用部分の軽微な変更は「普通決議」事項ですが、

規約において、

「共用部分の変更行為は、その大きさに関わらず区分所有者数の4分の3以上かつ議決権の4分の3以上の賛成が必要」

とする規約は、上記区分所有法39条より有効になります。

 

では、決議要件の緩和はどうなのか?

 

緩和は認められません

 

普通決議及び特別決議の決議要件の緩和(区分所有法17条除く)は認められません。

 

規約に別段の定めをすれば厳格化も緩和も出来るのでは?

 

例えば、区分所有法17条のような規定がある場合を除き、明文規定がない場合の要件の緩和は法律上認められないと解されるようです。

但し、

区分所有法31条(絶対的強行法規)の「規約の設定、変更及び廃止」だけは、緩和厳格化も出来ません。

まとめ

・マンションにおける議案の決議は方法は多数決となり「普通決議」と「特別決議」の方法があます。

・ポイントは、総会の議案については区分所有者の過半数で決議すると言う前提をしっかり押さえた上で、例外として8つの重要な議案については別の方法で決議する、と考える。

・普通決議及び特別決議要件の変更について、厳格化(31条除く)は可能ですが緩和(17条除く)は認められません。

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました